第八十四話 靴下

 靴下が汚いわけではない

 あなたが靴下を汚しただけ


 靴下が臭いわけではない

 あなたが靴下に臭いを移しただけ


 靴下が濡れているわけではない

 あなたが靴下を汗で濡らしただけ


 靴下に穴が空いてるわけじゃない

 あなたが靴下に穴を開けただけ


 全ての不都合を靴下に押し付け

 踏みにじって


 なんて汚いんだと

 ひとしきり文句を言ったあなたは

 乱暴にざぶざぶ靴下を洗う


 ぞんざいに干された靴下

 でも

 靴下はほっとしている


 乾くまで

 僕は虐げられずに済む

 と



【 了 】

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る