第七十四話 七変化

 色。

 変わることも、変えることもある。


 違う色の下。

 それがよく見えることも、悪く見えることもある。


 だが、色は色だ。

 それが何色であっても、その色はその色に過ぎない。

 誰かの代わりに私の人生を動かしてくれることはない。


 そして。

 今日もまた、色は変わり続ける。


◇ ◇ ◇


【色を売る】

「そんなこたあないやろ」

「いやー、あんたぁええオトコやと思うよ?」


【色を付ける】

「そんなんでええのか?」

「まあね。欲張ってもしゃあないもん」


【色を作る】

「そんな風になってんのか……」

「いけない? すっぴんなんかよう見せられへんわ」


【色を失う】

「そ、そんな……」

「出来てもたもんはしゃあないやろ? 認知だけしてや」


【色を変える】

「そんな話は聞いてへんでっ!」

「聞いてへんかったあんたが悪いんやろ? ほなな」


【色に出る】

「そんなん……ばっかや……ううっ」

「気持ちはよう分かるけどな。せやけど、ちゃんとぼん見たってや」


【色を直す】

「そんなこともあったんやなあ……」

「人生いろいろって感じ?」


◇ ◇ ◇


 七変化。

 刻々と変わる色に、人生を重ねる。

 だが人生の彩りは、本当はそれほど変わっていないのかもしれない。


 変えた、変わったと思っているほどには。

 変わっていないのかも……しれない。



【 了 】

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