第四十三話 穴

 穿ち、入り、潜み、見る。


 穴は不完全性の象徴。穴がある限り、全き存在にはなり得ない。すでに穴だらけの我々は、穴のない存在でありたいと請い願う。


 しかしある時を境に、穴は我々にとって必定であることを悟る。そして、もっと穴を開けたいと思うようになる。


 穴を開ける者。

 穴に隠れる者。

 穴を見下ろす者。

 穴から見上げる者。


 無数の穴の内外に居て、まだどこかに穴が開けられないものかと探し回っているうちに。我々は穴に封じられるのだ。


 ……永遠に。



【 了 】

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