第三十九話 波紋

泥水にも波紋は出来る

闇夜にも濃淡はある


朽ち花も花には違いない

後ろ向きに歩くのも歩行だ


思案と居眠りはよく似ている

心変わりと心境の変化はなぜか違う


苦労の幅は広すぎる

幸福の意味は曖昧すぎる


諦めると言うほどには諦められない

確かめると言って決めつける


波紋

心に波が立つ


だが


泥水の上のそれも

清水の上のそれも


いつの間にか

消える



【 了 】

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