椅子の上の画鋲

水円 岳

第一話 ブロークン

「壊れていますね?」

「ええ」

「直しましょうか?」

「古いからもう無理ですよ」

「うーん、部品を取り替えればなんとか……」

「いや、もし直せたとしても」

「はい」

「私は世界を滅亡させる装置ですから、直す意味はないでしょう」

「じゃあ、誰かに壊されたんですか?」

「いいえ」

「それじゃ、どうしてそんな姿に?」

「私が完成した時にあった世界。それが私だっただけですよ」



【 了 】

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