自由資本主義の空間

まえがき

　この文章は、小説ではなくエッセイとして書かれた。特に難解な要素は含まない予定なので、気楽に読み進めていただければ幸いだ。

　自由主義・資本主義・個人主義。これらの政治思想が現代社会にもたらしている影響は莫大だ。確かに、最近では「民主主義と自由」あるいは「資本主義と自由」と言ったように、自由主義という概念は忘れ去られ、自由だけが残っている様にも見える。しかし、現代社会は自由を必要としているのであり、個人の自由を保証するために最もふさわしい政治思想は、自由主義であることは間違いない。

　なお、このエッセイにおいては、民主主義は政治思想ではなく、福祉国家を維持するためのシステムに政治思想的な外見を与えたもの、として解釈するため、本文中に民主主義論が登場することはない。民主主義を導入すると、問題が手に負えないほど複雑になってしまうため、理論分析においては民主主義が省略されるのが望ましい。