ショートショート

北泉玄

二人の距離

今日も彼女の姿を見る事が出来た。

太陽に照られせて、眩しく輝く君をみてるだけで、深い幸せを感じる。

初めて君を見つけたのは、いつのことだったかな、遠い昔のように感じる。

それまでの僕は、僕として存在していたけど、僕はただそこにある存在でしかなかった。なんの意味もなく、そこにあっただけ。


そんな僕に意味をくれたのが君だった。

もちろん、シャイな僕には、彼女に声をかける事なんて出来ないし、まして告白する勇気さえない。

ただ見守るだけでいい。それだけでいいんだ。


僕はちびで薄汚くて不細工で、そんな僕に声をかけられても嬉しいはずがない。

むしろ迷惑がられるのがおちだ。

もし彼女に嫌われたら、僕には何も無くなってしまう。

この空虚な世界に、一人で居るのはとても寂しい。

一度君という存在を知ってしまったから、もうあの頃に戻ることはできない。

僕が存在する唯一の意味が、彼女を見守る事だから。


ただ不安なことがある。

君との距離が少しずつ離れていく。

毎日毎日少しづつ離れて行く。

だんだんと。


いつか彼女が見えなくなってしまったら、僕はどうなってしまうのだろう?

その時は僕は、寂しくて、悲しくて、発狂してしまうかもしれない。

その日が来ない事を願いながら、今日も彼女を見続ける。


僕と彼女の間には、38万kmの闇が広がっている。そしてそれは今も広がり続けている。

青と白に彩られた彼女は今日も美しい。

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