少年少女の恋物語〜好きな人出来たから本気出す〜

@0023_30

始まり

 人は、どんな時に恋に落ちるだろうか。

 よく、『恋は人を変える』って言うけど、俺もその意見に同意だ。

 ある時は一目惚れ。

 またある時は吊り橋効果。


 人には、さまざまな感情があり、様々な心を持っている。


 俺には、片想いの女の子がいる。

 その娘はとても可憐で、優しい性格をしていた。

 初恋を過ぎて、二度目の恋。


「……今日も可愛いなぁ、小野宮おのみやさん」


 机に寝そべりながら、好きな人の横顔を見る。

 やってることが変態に近いが、恋をしてるんだからしょうがない。

 というか、彼女のことをずっと見ていて、周りに注意してなかったから、何があるのか分からない。


「さて、それじゃあ席替え開始ー」


 担任の声が聞こえる。

 言葉から察するに、これから席替えか。

 ……俺、何も決めてないんだが。


「急いでも良いことないから、譲り合いを持って動いてねー」


 何ともまあ、優しい声音だろうか。

 クラス──というより生徒内──では『天使の声』と非公式で言われていることはある。

 が、


「良かったね夢穂みずほ。今回も席が近いよ」

「うんっ。次の席でもよろしくねっ!」


 俺にとって、小野宮さんの方が幾億も素晴らしい声だ。

 あの声で告白とかされたい。されてぇぇぇぇぇぇぇ!!!!


「ほら八雲やぐも、席替えだ席替え。早く動け」


 思わず叫びたいほどの妄想をしていたら、友人の霧咲きりさきに声をかけられた。


「席替え言われても、俺知らないんだが……」

「好きな人を見るのはいいが、ちゃんと先生の話も聞けよ」

「気を付けるわ」


 席替えの定番は、黒板に各自の席が書かれているので、黒板を見て見ると、


「お、あった……なっ!?」


 自分の席を見付けると同時に、とんでもないものを見てしまった。

 俺の隣りの席が、小野宮さんなのだ……!!


「……やばい、どうしよう」


 これから来る緊張や恥ずかしさを思い、そんな言葉が口から漏れた。


 ☆☆☆☆


 わわわっ! どうようどうしよう!?

 や、八雲くんと一緒だなんて、恥ずかしくて気絶しちゃいそうだよぉ~。

 心臓の音とか聞こえたりしないかな!? 緊張のあまり汗が出て、臭い女と思われたりしないかな!?

 うぅ~……。


「……ピュアハート純 粋 な 心を持った夢穂みずほには、この状況は逆に辛いかも……」


 私が恥ずかしさのあまり両頬に手を当てて悶絶していると、ポツリと聞こえた恵理えりの声。

 し、失礼な! 私にだって汚れた心だってあるもん!!

 ……口には出さないけど。


「ほら、とりあえず移動しよ。一応私も後ろにいるんだから、何かあったらサポートもできるだろうし」

「う、うんっ。そうだね」


 私たちは一緒に、席替えを始めた。


 ☆☆☆☆


「……」

「……」

「……まあ、こうなるか」


 席替えが終わり、クラスの奴等が誰と一緒になったとか、色々と騒いでいるが、こっちは全くといって騒げない。


「よろしくね、八雲くん!」

「よろしくな、八雲」


 小野宮さんとは逆の女子と話し掛けられたり、近くの男に話し掛けられた理するので、気まずい沈黙とかが無いのが救いかもしれない。


「はーいみんな。一旦いったん落ち着いて。それじゃあ、月曜日にやる家庭科の自習について説明するから」

『はーい』


 クラス全員が仲良く返事をした。

 なんて呑気なことを考えていたら、先生がとんでもない発言をしやがった。


「来週の月曜日は、隣の人・ ・ ・とペアを組んで調理するからねー」

「えっ……」

「ふぇ?」


 嬉しい反面と不安もある、そんな調理自習になるのは、すぐに理解した。

 そして先生からは、今日の残りの時間を使って、何を作るかを決めておくようにと言われ、俺たちは向かい合って決めることとなった……

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