異星人婚姻譚
@nikuja
第1話 春眠暁を覚えず
彼のまぶたの下には青空がある。木々はうめきざわめき、小鳥はもがくように飛ぶ。南風が彼を撫でれば、彼の目は木々と小鳥を、さらには南風をも全てすっかり映し出すであろう。そんなことを考えていると、いつのまにか私のまぶたも閉ざされていた。
私は、彼と寝る夢を見た。そして、私は彼の子を孕むのだ。西日が私のまぶたを貫くと、そこには開きかけのまぶたをこする彼がいた。なぜだか彼の頬は夕焼けよりも赤く染まっている。訳を聞いてみると、彼もまた私と寝る夢を見ていたようだった。
夕日が、帰り際の私たちの背中を押す。私たちが草木の間に横たわる嬰児を見つけたのは、そのときだ。私がその子を抱くと、その子は微笑んだ。それは、天使のような、という既に使い古された比喩がまさにふさわしい微笑みだった。
私はその子の中に彼を見た。そして、私は、その子がどんな大人になるのか気になった。すると、彼は、
「一旦連れて帰ろう」
とそっとささやいた。未だに赤いままの彼の頬は、彼もまたその子の中に私を見たことを示しているようだった。
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