第23話わかりやすさ(冒頭)

 ファンタジーでもSFでも、「冒頭をどうするか」というのは悩ましい問題かと思います。ファンタジーとSFに限る話ではないのですが、他のジャンルとかだとどうにでもごまかせるので。


 冒頭ですが、大雑把にこの5種類があると考えてみてください:

+ 世界設定など、そういう設定をじかに書く

+ 社会を書く

+ 話に入る1: 話の導入で「なんでそういう話になっているのか」という

  ところを書くなどなど

+ 話に入る2: ただ単に話に入る

+ 話に入る3: その世界がわかる話から入る


 ここで話にならないのは、「話に入る1」と「話に入る2」です。「話に入る1」は、説明っぽいなにかがずらずらと並ぶようになります。ただ、もしかしたらすこし見なおせば他のものに書き換えられるかもしれません。「話に入る2」は、構成において時系列にしたがって書くことしかしらないか、あるいは構成を考えていないからでしょう。

 「世界設定など、そういう設定をじかに書く」ですが、「造物主の掟」とかはそれに近いでしょう。やればやれる手法です。「造物主の掟」は、「じかに書く」という面もあれば、「社会を書く」という面もあることに注意は必要ですが。

 「社会を書く」のは、説明とかではなく、その世界は何なのかをピンポイントで指す社会の状況や環境を、そこに登場する人物で書きます。

 「話に入る3」は、「社会を書く」と似ていますが、主人公とかに一応フォーカスしている場合と考えます。


 投稿サイトを眺めていて思うのは、「話に入る1」と「話に入る2」、「世界設定などをそのまま書く」のが目に着くところです。そしてそれ以外のものもだいたい「社会を書く」の失敗したものか、「話に入る3」の失敗したものというところです。

 たとえばカクヨムであれば作者によるアオリを入れられます。そのアオリにどういう世界かがすこし書かれていたとしても、上記のどの場合でも第一話、せいぜい第二話でその世界が見えなければ、話になりません。正直に書けば:

   アオリではこう書いてあるけど、実際には作者はいったい何を

   書きたいのだろう?????


となります。これは投稿サイトだからという話ではありません。SFであれば、冒頭で一気に世界を構築するのが正統だと私は考えているからです。


 「冒頭」という話からはハズレますが、関係するだろうこととして、「ダラダラ書いてある」という現象もまた考えてみます。これは、小学校から大学の卒論まで、「何枚以上」という条件に慣れてしまっているというのも理由の一つなのかもしれないなと思いつきました。「絶対にA4で4枚以下」というような条件にも慣れていると、「いらないところは」ことも躊躇なくできるでしょう。そっちに慣れていなければ、ともかく分量を増やすように増やすようにという方向しか見えないかもしれません。切り捨てなければ、じつはそれはのだと同じだと理解する必要があるでしょう。

 もし、「私が書いたものにいらないところなど」と考えているなら――ほんとうにない場合もあるでしょうが――、それはただ、「いらないところがあるかどうか」ということを理解できていないだけでしょう。

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