約20年前に読んだ本を今読むことで、改めて感じたこと
こんにちは、埴輪です!
次回作の構想をあれこれ考えている中で、「政治や経済について学ばないと!」と思い立ち、約20年前に読んだ本を、もう一度読んでみることにしました。
具体的な内容はすっかり忘れていましたが、読み進めるほどに馴染んでいくとでも言いますか、自分の考え方の原点だと感じる箇所も多く、大変、面白かったです!
──でもって。
特に印象的だった箇所を、長文ですが以下に引用させて頂きます。
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竹中 佐藤さんは、無意味な競争とおっしゃるときに、一番イメージするのはどういう姿ですか。
佐藤 僕が今属しているところがやっぱりソフトウェアを作るところだから、そのあたりのことから言うと、たとえば昔ビートルズが「♪ヘイ ジュード」って歌いましたよね。あれ、最初はリバプールのアパートメントかどこかで、ふと口ずさんだ歌がレコードになり、ラジオの電波に乗って、世界中の人たちを感動させて……これからも未来永劫ずっとずっとあの曲はこの地球上から消えずに歌われ続けていくわけですよね。そして結果的にそれはものすごく大きなビジネスになっていくわけですが、このときに生み出されるお金というのは順番として副次的なもののような気がするんです。そのように結果として優れたアーティストが、そうでないアーティストを駆逐してレコードやCDの売り上げを伸ばしていく。そういう競争はいいと思うんですよ。
ところが、たとえば今の日本の音楽業界を見てみると、プロデューサーは売れっ子の誰それで、作詞作曲は誰で、歌はいま一番人気のある誰々に歌わせて、それを新しいテレビのドラマの主題歌にして……っていう具合に、記号的にこうやってこうやってこうやれば競争に勝ち抜けるっていう形とか計算がある場合が多いんです。音楽性とか関係なくて。
で、ドラマの主題歌に決まると、打ち上げなんかで盛り上がってるから、「どんな曲なんですか?」って聞くと、「曲はまだできてません」って言うんです。それでも実際、競争を勝ち抜いていくわけですよね。こうやってできた歌は、百万枚、二百万枚と売れるんです。でも、三か月後には飽きられて、中古市場に回ります。こんな悲しいことはありません。
竹中 そうですね。
佐藤 そこには音楽に一番必要な「個人的な感動」というものがなくて、まずビジネス、まず競争ありきで、一言でいえば、正しくない人が勝っているという状況、逆に言うと、正しくやると負ける状況だと思うんですね。
※佐藤雅彦 竹中平蔵『経済ってそういうことだったのか会議』、日本経済新聞社、2000、344頁、345頁、346頁
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……私は2019年の今も、この「無意味な競争」が続いていると思います。
「無意味な競争」によって生み出された作品がただただ消費され、消費者もそれで満足しているという状況は、様々な業界に当てはまるのではないかと思います。
私が今、最も恐れている未来は、「無意味な競争」によって生み出された作品しか知らない人たちが、「社会的な感動」を「個人的な感動」であると思い込み、消費するだけではない、作品の楽しみ方を知らないまま生きるということです。
だからこそ、私は今までも、そしてこれからも、「個人的な感動」を大事にした作品を書き続けていきたいと、切に思います!(「個人的な感動」はいつまでも残りますから、つまりは「死んでからもなお生き続けること」が私の望みです!)
幸い、今は「カクヨム」のような小説投稿サイトで、「無意味な競争」を勝ち抜くことなく、自由に作品を発表することができます。
そうした作品は目立たないことが多く、読んだからといって、誰かの共感を得ることはできないかもしれませんが、作品は誰よりも自身が楽しむもの……「個人的な感動」を得るものであるということを、忘れないで欲しいなと思います。
また、今なら自分しか読んでいないと思われる作品でも、こんな作品があるよと世界に向けて発信する……その一人目になることもできます。
そうして生まれた小さなが繋がりが連鎖し、大きな繋がりとなっていく……それこそが、本当の意味での「社会的な感動」であると思いますし、作品作りをする全ての人は、そうした「意味のある競争」にこそ注力すべきではないかと思います!
……とまぁ、結局は創作論になってしまいましたが、「意味のある競争」を後押しするためにも、「この作品は面白い!」「多くの人に読んで欲しい!」と個人的に感動した作品は、せひ応援を、評価を、宣伝をしてあげてくださいね!
もちろん、私の作品はいつでも大歓迎ですよ! 大歓迎ですよ!
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