TKG

 俺は冷蔵庫の扉を力いっぱい引いた。

 勢い余って扉が取れてしまった。

 まあそれは気にしないでおこう。


 中を見ると卵が一つだけあった。

 俺はそれを取り出し、テーブルの上に置いてあった茶碗を取る。

 茶碗の中には白いごはんが盛られている。

 俺は卵を茶碗の上で力いっぱい握りしめた。

 すると中身がボトボト茶碗の中に落ちていった。


 そして俺は箸でごはんと卵を混ぜ、おもむろにそれをかきこんだ。

 ふう、美味かった。


 ん? 殻ごと入ってないかって?

 それがどうした? 歯ごたえがあっていいだろが。

 醤油? そんなものは邪道だ!

 素材のままの味が一番だろうが!

 

 それにTKGって何だ!?

 AKBじゃあるまいし何でも略せばいいってもんじゃねえ!

 卵かけごはんと言え!


 俺はどこかに向かってそう叫んだ後、茶碗をゆっくり丁寧に洗い、そっと食器棚にしまった。


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