僕が見てきた「君達」

あれからもう何年になるかな。


あの時は辺り一面焼け野原だったなあ。


それをあの時の「君達」が一生懸命やってくれて


ここまで立派なものにしてくれたんだよな。


本当にありがとう。


僕にはただ見てるだけしかできなかったし。


え、何でって?


だって僕は……




「この木って私達のおじいさんやおばあさんが生まれる前からあったみたいね」

「そうなのか。じゃあこの木はあの時も燃えずにいたんだ」

「ええ。私達が見てないあの時をずっとここから見てたのでしょうね」

「……もしこの木が喋れたらその時の話が聞けるかもな」

「そうね。もう当時を知る人も少なくなっちゃったし」


 ん? 僕が見てきたことを聞きたいの?

 でも僕喋れないし……


 あ、もしかしたら未来の「君達」が僕を話せるようにしてくれるかもね。

 その時までここにいるかわからないけど、もしここにいたら話すよ。


 僕が見てきた「君達」の話を、ね。

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