ヒカリ←→アキラ 1(5月20日21日)
5月20日
この日、私は震える手と、暴れ狂う心臓を押さえ込んで、携帯の画面に指を走らせた。
←→
それは、1通のラインメッセージから始まった。
俺──
『リンゴーン』
そう携帯が鳴った。画面にはポップアップ表示が光っていた。そこには
『
というメッセージが「ひかり」という人から送られてきていた。
そのポップアップに触れ、トーク画面を表示する。すると、直ぐに続きのメッセージが送られてきた。
『今日の球技大会大活躍だったね! 凄いよ!』
……ん? こいつ誰だ? てっきり知り合いの誰かだと思ったのだが、画面上部には「追加」「通報」「ブロック」の表示が出ていた。と、言うことは初対面の奴か。ん~? クラスの女子かな? そう思い、クラスのグループへと移動。このグループにはクラス全員が居る。なのに、『ヒカリ』その名前だけは無かった。
本当に誰だ? えーと…………。
『褒めてもらったのは嬉しいよ。でも、誰?』
これでよしっと。直ぐに返信が来た。
『あ……いきなりでごめんね。一緒のクラスだよ』
はい? 一緒のクラス? え? え?
『え? でも、クラスのラインに居ないよね?』
『うん。ちょっとね、クラスのグループには別のアカウントで参加してるの。苦手な子がいて、このアカウントを知られたくなかったから』
『ああ。なるほど。了解。じゃ、もう眠いし、寝るよ。また明日ね』
『うん。また明日』
──翌日──
「なあ、
「急にどうした? なんかあったのか?」
俺の中学からの友達である
「いや、さ…………」
俺は昨日の事を話した。
「で? 三枝はそいつを怪しいとすら思わなかったと」
「うん」
「なんで?」
間髪入れずに聞いてきた。
「何て言うか、敵意のようなものは感じなかったし」
「どうせ、お前の事だ。褒められて気が良くなったんだろ?」
「う、うう……」
流石に中一の頃からほぼ毎日、顔を合わせていただけのことはある。幸平は俺が思っていたことを、鋭く指摘してきた。
「まあ、そいつの事が詳しく分かるまではあんまり奥深い話はしない事だな」
「そうだね。でもさぁ。きっと、良い子なんだろうなぁ……」
幸平が頭を抱えてため息をついたが、無視しておいた。
その日は、これ以上例のラインについて話さなかった。
彼女からのラインは週末まで一通も来なかった。
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