個人差
「個人差って、便利な言葉だよね」
「どして?」
「効果には個人差があるって言えば、効かない薬でも売れるじゃん」
「うん」
「味の嗜好には個人差があるって言えば、げろまずでもオッケーじゃん」
「うう」
「考え方には個人差があるって言えば、反対意見を無視できるじゃん」
「う……ん?」
「習熟度には個人差があるって言えば、仕事をサボれるじゃん」
「そっかあ?」
「愛情表現には個人差があるって言えば、つきまとい出来るじゃん」
「んー……」
「顔や体型の好みには個人差があるって言えば、わたしにもカレシが……」
「そらあ、個人差ではカバーできないと思うよ?」
「どしてー?」
「あんた、そもそも人間じゃないから」
【おしまい】
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