ソフトクリームと小人

今わたしが置かれている状況を言葉で言い表すなら[無秩序]だろう。

きゃーきゃーと聞こえる声に何度目か分からない溜息をついた。

 目の前にはお揃いの体操着をきた小人達が走り回っている。

当たり前だここは幼稚園なのだから。

そんな分かりきった事に今更落ち込んでいた。

 

元気のないわたしに気付いて、この空間唯一の大人が声をかけてくれる。

「桃子ちゃんどうしたの?元気ないね」

 わたしに目線を合わせて問いかけてくれる先生に適当な言い訳をして別れる。

大人にとっての幼稚園は地獄だった。

皆大好きお遊戯はつまらないし、おままごとは正直きつい。園児とはもちろん話が合わないし、友達というより子守りに近かった。

誓っていうが、子供は嫌いじゃない。子供向けのテレビ番組も案外好きだ。

だけれど、今まで子供と接してこなかった人間がいきなり園児の群れにはなされてもなかなか上手くはいかないだろう。

 わたしの立ち位置はいつの間にか若葉組のお姉さんと化していた。

早く、早く帰りたい。


送迎の幼稚園バスに乗ったこの瞬間が私にとっての最高の癒しだった。

バスの中で何人かの園児に桃子ちゃん今日遊ぼうと誘われたが断っておく。

正直、早く家に帰りたかった。




 家に帰りついた私はとりあえずだらだらした。だらけてすり減った心を回復しなくてはいけない。

ままにはお行儀が悪いですよと叱られたが仕方がない。

今の私は心が荒んでいるのだから。

 新たに出来た悩みを抱え、どうしたものかと頭を抱える。

全く生産性がない。分かってはいても、そう易々と完璧な子供にはなれそうになかった。

 園児になったが、子供になれなかったわたしは毎日幼稚園に通っているが一向に親しい友人を作らなかった。

それをままが心配しているのだ。まさか帰る方法以外でこんなに頭を悩ます日が来るとは思わなかった。

 迅速かつ速やかにお友達の家に遊び行けば良いだけの話だ。

今日だって何人かの子が遊びに誘ってくれた。遊ぶのは子供の仕事だ。とは言えそう毎日園児と遊ぶのも厳しいものがある。

小学生くらいの友達がほしい。

小学生くらいであれば、あまり違和感もなくすんなり事が収まる気がする。

 総じてこれ位の子供は年上の子供に憧れるものだ。何処かに本好きの面倒見が良い子はいないものだろうか。

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