惨劇の国のアリス

すべての終わり 後編

━━再び後ろ姿のアリスを映し出します。━━

「アリス・リィンハイムは自ら運命を引き寄せたのね……。」

━━我に返るアリス。━━

ああ、男の子のアリスの話もしないとね。

何のことはないわ。

あのこは孤児だったの。

体を売るしか生活が出来なかった……。

━━アリスはある空間を指差します。

そこには薄汚れた男の子のアリスが、膝を抱えていました。━━

━━アイスレットが彼の名前でした。━━

「おいで……。」

紳士に呼ばれます。

ついていくしかありませんでした。

そんな生活（まいにち）に絶望を感じ、死を願っていました。

……だからこそ、選ばれたのでした。

━━そして、再度アリスにスポットライトが戻ります。━━

「アリス・リィンハイム、のちのアリス・リリィによって運命が書き換えられた……。

あら？一人足りない？ うふふ……、ちゃぁんと居るわよ？」

━━アリスは静かに別の方向を指差します。━━

━━そこには見覚えのあるあのシーン。━━

━━たくさんのアリスの死骸の山と真っ白なエプロンドレスを真っ赤に染め、無惨に首が折 れてしまったアリスがいます。━━

「まだ、判らないかしら？ 仕方ないわね……。」

━━アリスは手を差し延べます。━━

「おいで、シャルロット……。」

━━首が折れたはずのアリスがムクリと起き上がり、アリスに向かって歩いていきます。━━

━━少しずつ小さくなっていきます。━━

「いい子ね……、シャルロット。」

━━アリスにたどり着く頃には、血を浴びたことが嘘のように真っ白な兎に……。━━

「私がついうっかりお姉さまに殺されちゃったから……。ありがとう、シャルロット……。」

━━アリスは愛惜しそうに白兎を撫でています。━━

「さぁ、終わりにしましょう……？

さよなら、みなさま。もう、会わないことを祈るわ……。」

━━全てが闇に包まれます。━━

～ 終幕 ～