第19話 ※番外編3 第一人者、ポケモンGOを語る

 2016年8月16日現在、ポケモンgoブームも落ち着いてきたと言われるが、先日埼玉県大宮の氷川神社と大宮公園を訪れた所、多くのプレイヤーが『ニャース』や『ルージュラ』等のポケモンの名前を交わしながら境内や公園内を闊歩していた様子を目撃したため、今一実感が湧かないものである。

 今後このブームがどれほど続くかわからないが、普通なら神社の参拝客や公園の利用者、博物館の来館者が占める空間に多くの人を招き、ポケモンゲットに熱中させるその求心力は、例え一過性であったとしても本物であることは疑えまい。


 さて、こういった新しいものは、マスメディアの標的になるのが常である。ポケモン直撃世代の身からすれば、ポケモンというコンテンツは常にマスメディアの標的になっていたという印象があるため「ああ、今回も大変だな」という予感はこのアプリの存在を知った時からつきまとっていた。……結果は皆様の知る通りである。


 ただ、このような巨大コンテンツが的外れな難癖をつけられている状況に、義憤で怒れる程私の中に情熱は残っていない。かの有名な上毛新聞様が「ポケモンGO」に対する問題提起を行ったりしなければ、この問題に触れることはなかったであろう。

 可能ならば、上毛新聞ニュース『日航機事故「慰霊の園」がポケストップに 上野村が困惑』をネットで検索して見ていただければと思うが、その内容はほとんど見出し通りで「日航機墜落事故の慰霊塔がゲームの拠点になっており、これは如何だろうかと思われる。ちなみに群馬県内ではポケモンGOによる事故やトラブルが起きている」という当たり障りのない内容である。


 記事の内容は至極真っ当で、そりゃそうじゃとしか言いようのない内容である。外国の企業が分かりづらい問題であるためこういった指摘をし、是正を促すのは当然のことであるが、ここで引っかかるのは上毛新聞社様の態度である。

 日航機墜落事故に関して功績を遺した彼らは、未だにこの事故の第一人者を気取っているのである。地理的な要因に助けられ偶然得たはずの戦果をいつまでも固持したいというのは人間の心理としてまあ自然なのであろうが、仮にも群馬一番の新聞にしては余裕に欠けているだろう。


 そして何より言わなければならないのは、自分の会社は今まさに私の実家が燃えつきる様を、遅滞した消火活動が行われる中撮影して回り、記事を作成し飯の種にしたというのに、日本の事情を良く知らぬナイアンテックの『過ち』に文句をつけるのはいかがなものだろうか、ということである。

 しかも、上毛新聞社はナイアンテックと違って『過ち』に修正の要望をおくっても完全無視である、そんな彼らが如何にもこういう難しい問題に寄り添っているように振る舞うのはえらく奇妙な話ではないだろうか。


 以上が、群馬を主戦場にしながらろくに火事の記事も書けない上毛新聞社に、知らぬ間に焼失した我が家を記事にされてしまった私の困惑である。上毛新聞社に誤った記事にされるくらいなら、ナイアンテックに我が家の空き地にほのおポケモンが出るように設定してもらいたいくらいだ。




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