だから何も問題ない

きさきさき

第1話

女の子はかわいそうだ。


こんな息苦しさを覚えるまでの小さな下着に下半身を四六時中締め付けられているなんて、あまりにかわいそうだ。

僕ら男の余分なペニスを差し引いても、やっぱり女の子の下着は窮屈だ。

男であれば、ゆったりと余裕のあるトランクスという選択肢があるが、女の子にはそれがない。

下着の種類でいえば、男の僕らよりよっぽど選択肢は広いのだが、それらはティーバックや紐パンツなど、履き心地は二の次で、見た目のかわいらしさや男の欲情を煽る色香に重点を置いた極めて安定性に欠いたものばかりだ。

そこに締め付けはないだろうが、過度な解放感は時に心細さを覚える。

安定か解放感、締め付けか心細さ。

女の子は下着において、いつもそんな両極端な選択を迫られているのだろうか。

やっぱり、かわいそうだ。


けれど、女の子にこんな同情を寄せれば、彼女たちは露骨なまでの嘲笑を浮かべ、僕にこう言うだろう。

「男のくせに、女の格好をさせられて街の中で立たされているあんたの方がよっぽどかわいそうだ」と。


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