14話:不死

不死1

 虚無穴からの私のスープでリベルを殺す作戦は失敗に終わった。虚無穴に落として私のスープを飲ませて肉体を完全に消失させることで、魂だけの時間を一時間程確保することはできたが、そのあと、馬車に乗せて冥界に連れて行こうとしたのだが、リベルは途中で引っかかって、潰れた。私と向かい合って馬車に乗っていたのだが、途中、現世から冥界に移り変わる境目辺りなのだろうが、そこでリベルだけ見えない壁にぶつかったかのように潰れて、結局リベルを冥界に連れていくことはできなかった。

 魂が潰れてしまったが、大丈夫だったのだろうか。冥界についてすぐ、現世にとんぼ返りし、確認しに行ってみたが、そのころには肉体も再生しピンピンしていた。

「魂があんな潰れ方をしたのは長く生きてて始めてだったけど、ものすごい苦痛を感じたよ。間違いなく普通なら死ぬ」

 魂が潰れるような状況になったら普通は死んでいるのでは?

「そんなことより、魂が潰れても死なないってどういうことですか。どう考えてもおかしいでしょ」

 普通、魂が砕けたりしたらそのまま周りの魂に取り込まれてしまい、取り込まれなかった分もすぐに冥界に送られ転生することになるだろう。記憶も保てないし、肉体に戻ることすら叶わない、魂が砕けるとか潰れるとかいうのはそういうことなんですけど、まだ誰も知らない不死特性がリベルにはあるようです。本当にこれ、殺せるんでしょうか。怪しいですね。


 リベルの魂ぺちゃんこ事件から数日。ふと思い出してリベルに尋ねる。

「そうだ、リベル。天界の図書館にはリベルが手に入れた不死特性の一覧とかをまとめた本とかないんですか?」

 確か前に契約した悪魔の名前は城に記録してあるとか言っていたような。

「そうだな、用意することもできなくはない、かな。確かにあった方がいいだろう。早速天界に行ってみようか」

 そう言って門を出現させるリベル。

「前は自力では出せないとか言ってたような気がするんですけど?」

「あのときは現世にいた期間が長すぎて神族としての力が少なくなっていたからね。しばらく天界にいて、十分に力を取り戻したから今は自力で門を出すことだってできるし、現世から城に直接アクセスすることもできる」

 これからは調べ物が楽になりますね。リベルに頼めば古今東西全ての書物を閲覧することができるのですから。これをうまいことリベル討伐後も残して、これからの死神組織の役に立てることとかできないだろうか。

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