不死者狩り5
「早かったな」
そう、私が受付で案内をお願いしてから到着までだいたい五分、何時間もかかることを向こうも想定していたようです。
「流石に三度目ともなれば」
「そうか、では任務について説明する前に、君のパートナーになる死神を紹介する」
パートナー、やはりまだ私一人で任務に出すことはせずに、他の経験豊富な人をパートナーにつけて簡単な任務を任せてもらえるような感じですね。
「彼女が君のパートナーになる、モルスだ」
そこに呼ばれて部屋に入ってきたのは、先生でした。
「君も知っての通り、彼女は死神学校で講師をしていた。君も師事を受けたことがあるだろう。そして、これから半年の間は彼女と共に不死者を討伐してもらいたい」
確かに指導役としてはうってつけなのかもしれませんけど、先生の噂を思い出すと嫌な予感しかしない。
「討伐する不死者のリストは私が持っているから、早速行きましょ」
手を引かれて、さっさっさと部屋から廊下へ、廊下から玄関へ、玄関から馬車へ。
「さて、どれから行く?」
馬車に揺られながら不死者のリストを並べる先生。
「いやいやいや、これ、私がどうにかできる不死者じゃないですから」
「あら、意外となんとかなるものよ?不死者なんて言っても少し長く生きているだけの人間ですもの」
「どれもこれも、三百年ぐらい生きている不死者ばっかりじゃないですか。なんでもっと早く、力をため込む前に殺してしまわないんです?」
「そういえば、あなたには不死者のことはあまり教えてなかったわね。現世に着くまで少し時間もあるし、講義をしながら行きましょうか。そもそも、不死者っていうのが何を指しているかわかる?」
「死なない人たちですよね」
「そう、普通なら死ぬようなことをしても死なない人のこと。じゃあ、なんでその不死者を私達死神が狩るかは知ってる?」
これは以前資料で読みましたね。
「長く生きると魂が歪んでしまうから、ですよね」
「よく知っているわね、それは逆に言えば長く生きなければ不死でも無害ってことなの、人間の場合、歪み始めるタイミングがだいたい三百年なのよ」
「死神の定年が二百年なのもそれでですか?」
「そうよ、肉体の限界として百年以下、あとは死神として二百年で三百年ってことよ」
「でも先生はすでに何百年も死神やってるって聞いたんですけど」
「人間じゃなければ三百年で魂が歪むこともないのよ」
「人間じゃなかったんですか?」
「さぁ、どうかしらね」
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