大図書館7
リベルティに連れてこられた場所には本棚が無い円形の広い部屋で、天窓があるため明るい部屋です。中央にとても大きくて様々な色が混ざり合った宝石の塊が置いてあります。
その宝石の前にリベルが座っていて、周りには大量の本が浮いています。目を閉じて集中して作業をしているようで、私達には気づいていません。
「あれが歴史書を作る作業です、と僕はテロリカとファボスへ言った」
「自分で本に書き込んでいるわけじゃないんだ」
「はい、あの結晶体は歴史を司る神族が作り出す記録の結晶で、それを書物の形にすることが僕たち、書物を司る「リベル」たちの仕事になります、と僕はテロリカへ言った」
「で、私たちは何を手伝ったらいいの?」
「そうですね、ではテロリカには記録の結晶の運搬、書物にし終わった結晶をあちらの倉庫に運んでもらえますか、適当に放り込んでおいてもらえればいいので、と僕はテロリカへ言った。ファボスは完成した歴史書を運んでください。運ぶ場所は司書に案内させましょう。運んだ先で作業をしている司書達に渡してもらえばいいですよ、と僕はファボスへ言った」
仕事の内容は簡単なのですが、これ、いつまで手伝ってればいいんでしょうか。手伝うと言ってしまったのは私なのですが、早くこの状況でリベルを殺す方法を考えなければならないですね。
リベルの手伝いを初めてすぐ、リベルに気づかれました。
「なんで来たんだ、来るな、とは言ってないか。でも、僕はしばらく死ぬ気はない。冥界からも連絡が来たんじゃないのか?君が僕を殺す理由はないはずだ」
「いえ、そうは言っても私がここに来たのはファボスに誘拐されたからですし?」
「それは建前だろう、僕はその建前を建てた理由を聞きたいんだ」
「…………私は仕事とは関係なくあなたをぶっ殺してやりたい、それだけですよ」
正直それだけなんですよね。
「でもしばらくはここで手伝ってますよ。まだ殺す方法がしっかりしてないので」
「だから、もう死ぬ気はないと言っているだろう」
「なんで死ぬ気なくしちゃったんす?ていうか、天界に帰っちゃった日、なんで私を気絶させたんですか」
あのまま殺されてくれれば楽だったんですけど。
「気絶させた?僕が?もしかして、覚えていないのか?」
「え?」
確か、あの時は、リベルを探して村長の屋敷に行ったら、リベルがいて、私がリベルを呼んで、リベルが近づいてきて?そこまでしか記憶にない。
「覚えてないって、何をですか?」
「いや、あの日君は村長の屋敷から出てきた僕に呼び掛けて、僕がそっちへ向かって歩いていたら、君もこっちに駆け寄ってきた。そして、君は盛大に転んで頭を打ったのかそのまま気絶してしまったんだよ。しかたないからベッドに寝かせて、出発の時間になっても目を覚まさなかったからそのままだったんだけど」
なんてことでしょう。私はてっきりリベルに気絶させられたものと思ってましたけど、気絶させてまで別れの時をごまかしたことに腹を立てて来た風なのに、それが勘違いとかすごい恥ずかしいじゃないですか。来た理由はそれだけではないですからいいけど。
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