破壊神きたれり2

 上半身を失ったリベルの下半身はサラサラと砂になり、崩れて消えた。上半身のどこかが核として再生する能力のようだ。上半身は空のかなたへ消えてしまったのだが、戻ってこれるのだろうか。

「破壊神といっても腕力任せでは僕を殺すことはできなさそうだね」

 私の後ろで復活していた。

「腕力だけで空のかなたまで飛ばされたんですか?」

「そうだよ、三万年前もそうだったけど、あれは破壊の殆どを腕力で行う。魔神のくせに何にも特別な力を持っていないが、腕力だけで全てを砕く。一週間も自由にさせておけば文字通り世界が粉微塵になるね」

「覚えてるんじゃないですか、何でさっきは知らないふりをしてたんです?」

「怒らせるためさ、僕に攻撃を集中させるためにね。あいつが僕を殺そうと躍起になっているうちは周りにはあまり被害が出ることはないからね」

 話している間もファボスはリベルを殺せたとは思っていないようで、外で吼え続けている。

「暫く僕がひきつけておくから、あいつを諦めさせられそうな道具を用意しておいてくれ」

 そう言ってリベルは窓から外へ出て行ってお腹に穴が開いた。

 ファボスを諦めさせるような道具って何を用意すればいいんでしょうか、腕力では壊せない物かな?。

 そうこうしている間にリベルの頭がボールのように掴まれ、ファボスが堅そうな体を捻りに捻って、空に向けて思いっきり投げた。音速を超えているらしくとんでもない爆音とともに空中で頭が粉々に砕け散った。

 早めに諦めさせることのできる道具を考えて渡した方がよさそうですね。


 いい道具がないか資料を見直していて、ちょうどよさげな道具を見つけました。

 絶対防御、不破不壊の盾、「アイギス・レプリカ」です。異世界の神話に出てくる神器「アイギス」のレプリカで、実物の神器ではないらしいのですが、世界最高の錬金術師、鍛冶師、魔術師の合作で神話に出てくる本物の「アイギス」を超える逸品だそうです。正直この盾を作らせた人は相当な道楽者だと思いますね。だって、本来こんな盾を用いる必要がある攻撃をしてくる魔物や魔神が人間の世界へ侵攻してくるなんて事態ありえませんし。

 そこまで考えたところで現実に思い至る。

 たった今、そんな事態に直面していたんでした。

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