モネの安らぎ

蓮見蓮

エピローグ

 幼い頃、母に連れられ美術館に行ったことがある。そこで一枚の絵画に心を奪われた。誰が見てもその絵は『美しい』と絶賛された。幾重にも塗り重ねられた油絵具、重ねすぎてもはや何を描いたのかも定かではない。それでも人々は言う、『美しい』と。少年もまた魅了された1人。綺麗な絵だと思った。だが少年はそこに言葉を加える。「この絵の中に人を描いたらもっと綺麗かも」。この想いを20年胸に抱き続けた少年はようやくその想いを現実にする。

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