流刑の王～ボクとみんなの大航海日記～

エル・ガナンド三世の即位より十六年、炎月十五日

（格式ばったファンランド王国公式指定文字で）

　炎月十五日すなわち神聖暦八月十五日

　針路北東十五度。南南西の風、微風。

　推定現在位置北緯三二九、西経一七八五。

　多島海間近。

　本日午前三時限に我艦艇よりルーク諸島の島影を視認。

　本艦艇「早風」は予定通り航行せり。

　本日午前四時限にファンランド王国枢密院議会の密書を指令通り開封。

　我、「早風」艦長トン・ウェイは任務内容を確認後、即時遂行せり。

　作戦名：「艦内清掃」

　任務内容：ナンス帝国初代皇帝エリオン一世陛下より引き渡された、

　　　　　　ナンス人の捕縛と処分。

　開始時刻：午前十一時限　　

　終了時刻：午後一時限

　結果：

　ナファールト・ド・ナンス前国王を捕縛。船室に監禁。

　カルル・ド・メルニラム元公爵を捕縛、午後一時限に絞首刑にて処理。

　その妻ファドリアを捕縛、船倉に監禁。

　ジョルジォ・ネイス元侍従長を捕縛、同じく船倉に監禁。

　シャリル・ディゴール元将軍を捕縛、帆柱に拘束。　

　他ナンス人の使用人三名を捕縛、船倉に監禁。

　本日午後一時限にカルル・ド・メルニラムの遺体を投棄。

　他の捕縛者も順次、処理予定。

　今回の作戦による死傷者：

　死亡　　　ファン・レイ副長

　重傷　　　ロン・サム一等水兵他三名。

　軽傷　　　サン・ダイン海尉他十名。

　備考：

　女将軍が強すぎ！！

　死ぬかと思った。あの剣を子どもが持っていてくれて助かった。

　神殿の神具とのことで、無理矢理持ち込んできた時は冷や冷やしたが。

　しかし人員補充のため、ルーク諸島の海軍基地に寄港しなければならなくなった。

　素手で人の頭を砕くなど、なんて恐ろしい女だ。手を出す気も起きない。

　今も獣のように唸っている。

　とりあえず投錨用のロープで拘束したが一回引き千切られた。

　とても怖い。しかしファンランド王国の安泰のため、耐えるのみ。

　我らが国王、エル・ガナンド陛下に栄光あれ。