第3話 ACT1 客(まろうど)1
整ったダイニング。
暗めなブラウンのフローリングが敷き詰められた床。
姫緒(きお)が、ベージュのホルダーネックに白のパンツ姿で、部屋の中央に置かれたスツールに腰を掛け、傍らのテーブルの上に置かれた郵便物の束から手紙を一つずつ手に取っては目をとおす。
テーブルの上には他に、半分ほどオレンジジュースの入ったクリスタルグラスがひとつ。
手紙には宛名の他に『親展』『請求』『催告』等、意味深げな赤い文字のスタンプが押されているものが目立つ。
「くだらない」
彼女はそう言うと、長い黒髪を軽く手櫛で整え、読みかけていた手紙を束の中に戻し、それら全てをまとめて足元の小さな屑カゴに放り投げた。
玄関のチャイムが鳴った。
しばしの沈黙の後、再びチャイムの音が響く。
「風小(ふうこ)!聞こえないの!早く応対しなさい」
姫緒が怒鳴る。
「風小!」
「はあい!ただいまぁ!」
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