第8話 三校祭(ティル・ナ・ノーグ)
放課後。歩はCVA専門の病院ヘ向かった。
「えーっと、ここか。受付をして……」
受付に自分のIDカードを通し、眼科を選択し今日はどのような要件できたのかデータを打ち込んだ。
それから待合室で待ちながら今日の戦闘データをまとめていた。
クラスメイト全員のCVA、VAと戦闘データは十分だな。今日見た限り、やはり最大の敵は有栖川さん。
そう考えながらデバイスにデータを打ち込んでいると、順番がやってきた。
「七条歩さん。7番ルームへどうぞ」
「お、意外と早かったな」
そして、デバイスを閉じて診察室に向かった。
「えーっと、七条歩さん。今日は眼精疲労がひどいので目薬が欲しいと」
医者は彼の打ち込んだデータを見ながらそう言った。
医者の容姿は典型的なモデルのような体型をしており、加えて顔もとびきりの美人。彼女は多くのかかりつけの患者をもつほどこの病院では人気なのである。
「あ、はいそうです。」
「あなた、VAは視覚系なのよね?」
「はい。
そう答えると彼女はまじまじと歩の眼を覗き込む。
「なるほど、たしかにちょっと疲労が残ってますね。今日は使いすぎましたね。じゃあ、目薬処方しときますね」
「はい、ありがとうございます。」
「なにかあったらまた来て下さね」
彼女は軽く微笑んだ。それは年上の色香が少し感じられる、そんな笑顔だった。
目薬をもらい自宅に戻る。歩は自宅に戻るとすぐにシャワーを浴び、晩ご飯を食べながら今日の試合の反省をしていた。
「うーん、今日の試合右肩に氷を食らったのはまずかったな。あれで、
そして、反省も終わり、食器を片付けソファーで
「なるほど、ね。はぁ〜……」
ため息まじりに歩はそう呟いた。
それからしばらくの時が経った。2120年6月。6月からは校内選抜戦が開始される月でもある。今日は6月1日。そして、担任の高橋茜から代表戦の説明がなされる。
「おし、今日は全員いるな〜。データでも確認できると思うけど、改めて
教室の前方に電子モニターを表示し、説明していく。
全国3カ所にあるクリエイターを専門とする高校、International Creative High School 東京本校 大阪校 福岡校。その3校から代表5人を選出し、計15人によって競われる武の祭典
また、クリエイターならばその
全国大会ではHP制は採用されていない。この大会ではプロや世界大会と同様のルールを用いる。簡潔に言うと、相手が戦闘不能になるまでCVAで戦い続けるのだ。そのため、死亡まではいかないまでも選手生命が終わってしまうほどの負傷するものも出てくる。
しかし、出場選手はそれを了承し大会に出場してくる。彼、彼女らにとって
「おし、ここまではいいか〜? まぁ、普通に理解できるよな。じゃあ校内選抜戦について詳しく説明するぞ〜」
校内選抜戦。
各学年3人の代表が決まったら、今度はその9人でリーグ戦をし上位5人を代表とする。
試合数にするとかなりの数になるが、代表を勝ち取る為に生徒達は死力を尽くして戦いに挑む。
「……で、説明は以上だが質問ある奴はいるか〜?」
一通り、説明を終えた茜がそう言うが、生徒達は静寂していた。夢にまで見たあの舞台が目の間に迫っているのだ。今からでは早すぎるが、緊張している者も中にはいた。
「よし、じゃあがんばれよ〜。うちのクラスから代表が出るとあたしの評価も多少あがるかもしれんからよろしくな〜」
そう言うと同時に茜は教室を出て行った。
そんな中、歩はある事を考えていた。
(とうとう、この時がきたか。あの時からどれだけ待ち望んだ事か。俺は
……時は数年前に
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