手から零れたもの

全てが壊れた 手から砂のように零れ落ちた欠片


僕は慌てて手をぐっと握った 零れ落ちないようにきつく握った

それは僕の手を刺した 手はとても痛くて弛んでしまった


そして又手から零れだした

跪いた僕の瞳の下の 小さな山を見て僕は涙した


失ったモノの形も 大きさもそして重さも

その目下の事実で 一瞬にして忘れてしまった


今僕は何も無い 自分が一番不幸だと思う瞬間


どれくらいの時間が経ったか 小さな笑みが零れた

何かを認めてみたような 静かな笑みだったかもしれない


何も無い事を解っているのに 自分の手の中を僕は確認しようとする


その自分が思う惨めさを認める事も 必要だと頭だけは理解しているから


だから僕は手をゆっくりと開く 勇気なんていうモノよりも 

もっと大きな心で この手を開くことにするんだ

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