夢現~むげん~

夢と現実の狭間は何処だろう

抜け出しても抜け出さなくても……


とりとめも無い僕の思考は

心臓を直接握りつぶされる様な感覚のおかげで

止まる事が出来た


僕はあの日と現在を 

行き来しながら

あの人の涙と 去り際の言葉を

頭と心が復唱するかのように

僕を困らせる


同じ風景がない事は

誰でもない

僕がよく知っているはずなのに

いつも君と歩いた場所で

夢の中にいる感覚で 立ち尽くしています


それでも 失いたくないと思った時の

白く冷たい桜も

 

最後に見た君の涙と その背中と

薄紅色の雪も

もう此処には無いのです


そんな事は とうの昔に

僕は 知っているはずなのです


延々と同じ場所に立ち

それを悔やむ僕は

いつまで夢と現実を

永遠に彷徨うのだろうか


夢から 醒めれば良いだけだと

誰かは言うだろうし

現実を直視すれは

傷は一瞬痛んでも その時だけ

本当は僕も 知っている事なのです


だけどもう少しだけ

此処に居させて欲しい

今日だけは居させて欲しい

何故かは分からないけれど

僕は今日そう思えたのだ……――

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