魔法使い
「美味しかったニャ」
ユキが朝から大盛りのご飯を食べていた。
「その小さい体のどこに入っているのか」
「マスター、それは気にしてはいけませんよ」
あんなにも小さいのに、僕よりもいっぱい食べるんだから不思議なものだな。その上、太ったりするわけではないので更にわからない。
「それじゃあ、倒しに行く準備をしようか」
「任せるニャ、ユキがしっかり戦って倒すニャ」
「はいマスター。目撃情報もありますので、まだ同じところに居るのは確定してますね」
「よし、それじゃあ部屋に戻ろうか」
皆で部屋に戻って、出発の準備をして宿を出ることにした。
「ありがとうございました」
宿の受け付けで、景色のオススメを教えてくれた人に挨拶をしておいた。
「ありがとうございます。お気をつけてくださいね」
「はい、ありがとうございました」
そう言って僕達はモンスターを倒しに向かった。
「ここからが虚構の草原ですマスター」
見た目はただの草原だった。
でも、ここからは魔法使いが大量の危険地域になる。
「みんな、準備は大丈夫かな?」
「大丈夫だニャー」
「私はいつでも大丈夫ですよ」
僕達はここから始まる危険地域に向かった。
いきなり魔法使いがあらわれた。
「サリナ、あいつはどんなやつだ?」
「あれは、タートルウィザードですね。やたら防御力が高いのですが、体力はそこまで多くないです」
体力が多くないのは助かるけど、防御力が高いのか。どうしようかな、でもまずは攻撃してみないとわからないな。
「ユキ、僕の援護お願いね。サリナも援護お願い」
「任せるニャー。完璧な援護でマスターをお守りするニャ」
「わかりましたマスター。私の最大の力を発揮します」
相手もこちらの殺気に気がついたのか、こちらを警戒している。
僕はじわじわ距離を詰めて、最後に駆け出して一撃入れることにした。
「おらぁぁぁ、これでもくらえー!」
バキン!
僕の全力の攻撃はタートルウィザードの硬い甲羅に弾かれてしまった。
次の瞬間、僕の体が浮く感覚がした。
「マスター!」
サリナの悲鳴が聞こえた。
ドスッ!
鈍い音と共に、体に重力が戻ってくる。
「ユキが援護してるから、サリナはマスターの回復をお願いニャ」
攻撃を受けたと思われる右半身の感覚が無かった。
何だよ、異世界なんてクソじゃないか。
あんなの、チート能力が無いと痛くて、苦しくて、記憶も無くて、そんなの帰りたいに決まってるじゃん。
「マスター、大丈夫ですか?すぐにサリナが魔法で回復させますので、耐えてください」
駆け寄ってきたサリナが泣きそうな顔をしている。
僕はサリナのこんな悲しそうな顔を見たくない。
サリナはちょっと変わってて、行動も大胆で、恥じらいを持って欲しいところもあるけど、やっぱり男として女の子には笑っていて欲しいな。
「サリナ、早くして欲しいニャ」
援護していたユキの方にタートルウィザードが向かっていて、ユキは何とか攻撃を避けている。
「リフレク!」
サリナがつぶやくと、サリナの周りに水色のサークルが出来上がった。
すると、今までの痛みが消えて体が軽くなった。
「マスター、大丈夫ですか?」
「すごく体が軽くなったよ。何をしてくれたの?」
まるで、攻撃なんて受けなかったかのように体が軽い。おそらく、サリナの魔法のおかげだろうとは思っていた。
「私の治癒魔法です。さっきのサークルの中にいる人は傷や疲労が全部なくなる魔法です」
だから、傷だけではなく全身軽くなったのか。
「ありがとうサリナ、魔法で僕の援護をお願い」
「わかりました、でもマスター大丈夫ですか?」
「任せてよ、相手のパターンはわかったから」
僕はそう言って、タートルウィザードに向かって行った。
すると、後ろから僕に何かが当たった。
その直後、全身から力が湧き出てきた。
サリナが攻撃サポートの魔法でも使ってくれたのだろう、ここまでサポートしてくれてるんだ何としても倒さないと。
注意を引いてくれているユキも危ないし、早く倒さないと。
僕が弾かれた時は、あの硬い甲羅に攻撃をしたから、今度は本体を狙ってみるか。
ユキの真横を駆け抜け、甲羅から飛び出している頭の部分に攻撃するために全力でジャンプした。
魔法でジャンプ力も上がっていたのか、頭を少し越えるほどのジャンプをしてしまったが、これなら落ちながら攻撃できる。
全身に力を込めて、タートルウィザードの頭部に剣を振り下ろした。
すると、タートルウィザードは悶え苦しみながら消えた。
「やったの?」
「マスターが倒したニャー!」
二人の歓喜の声、消えたモンスターのところにコスモと、虹色に光る物体が現れた。
「ねえサリナ、あの光ってるの何?」
コスモは知っているが、あんな光る物体が現れた事は無かった。
「あれは、レア武器でも落としたのでしょう。珍しい物を落とすと、あの様に光るのです」
「そうなんだ。知らなかったよ」
僕はコスモと光る物体を拾いに行った。
光っていたのは、銃に剣が付いている武器だった。
でも、僕はこんな武器使えないしな。
「大丈夫ですよマスター、もし使えないと思ったら武器屋で売ることもできます」
へぇーそうなのか、ってまたサリナ心読んでるし!
「無事倒したし、まあちょっと無事じゃなかった時もあったけど、とりあえず紅いオーラのモンスターを倒しに行くぞー!」
「行くニャー」
「はい。マスター」
そして、僕達は更に奥の方に進んでいく。
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