喧嘩?いいえ制裁です

 僕とサリナは二人で草原を歩いて、小さく見えていた街に到着する。

「なんだここは?」

「ここはフェルミス。通称始まりの街でございますマスター」

「フェルミス?なんだ人がいっぱい居るな」

 まるでRPGの街のようであった。

 建物は少し昔の感じ、ビルのような高層建築物は全く無かった。

 そして、武器や防具、よく分からない薬などが、自宅兼店舗の様なところで、所せましと並んでいる。

 僕はずっと疑問に思っていた事を、サリナに尋ねた。

「ここで、どうやったら記憶を取り戻せるんだ?」

「マスターの記憶を持っている敵は紅のオーラをまとっております。その敵と闘い、倒せた場合その敵の持っている記憶を取り戻すことができます。」

「はあ!?敵が出るとか聞いてないぞ!」

「大丈夫です。マスターは武術の達人とお聞きしておりますので」

 僕は、武術の達人だったのか?

 今の僕には記憶がまったくない。そのため、自分が何をしていたのか分からない。サリナは武術の達人と言っているが、それが本当かも分からない。

「それではマスター、装備を整えましょう」

 言われるがままに、サリナに武器と防具の店に連れて行かれた。


「いらっしゃい、兄ちゃん。今日は珍しい防具が入ってるよ」

 店まで来てから、とある事に気がついた。

「なあ、サリナ、僕はお金持ってないんだけど」

 お金が無ければものは買えない。これは、どの世界でも同じだろう。

「マスター、ご心配いりません。私の胸に触れてみてください」

む、胸に触れると!?

 サリナの胸には立派な二つの山がある。

 男の僕からすれば、それはそれは立派なお山である。

 そこに触れとか、恥ずかしくて出来ないだろ。

「どうしましたマスター?」

 いくら僕でも、女性の胸に無闇に触れるのはいけないと分かる。

「でも、サリナは女性だし、いきなり女性の胸に触れるのは」

「ご心配いりません。これは、マスターに触れられた時だけに反応する魔法がかけてありますので」

 そこじゃないんだよな。

 女性の胸に触れるのが怖いんだよな。

 そうこうしていると、サリナが更に胸を差し出してくる。

 こうなれば仕方がない、少しだけなら大丈夫だろ。

 僕は覚悟を決めてサリナの胸に触れてみた。

「ま、マスター、そんな激しく///」

 ほら、こうなると思ったから嫌なんだよ。

 サリナの胸から、蒼く輝く球体が出てきた。

「ではマスター、これの下に手を出してください」

 恐る恐る手を出してみる。すると、今度は白い球体出てきた。さっきの蒼の球体より少し小さい。

「その白い球体が、この世界での通貨の【コスモ】です。そして、この通貨は、大きさで価値が決まるのです。その大きさだと、1000コスモぐらいですね」

「この小さな球体にそんな価値があるのか?」

 見た感じでは、手のひらに乗るサイズの大きさしかなかった。

「マスター、早速武器と防具を購入してみましょう」

いっぱいやって帰ります。

 使いやすそうだった、片手剣と鉄の防具を購入する事にした。


「はいよ、兄ちゃん。ちょうど貰うな」

 どうやら購入出来たみたいだ。

「ではマスター、それを身につけましょう」

 装備しながら、疑問に思った。

「なあ、サリナ、お金はどうやったら稼げるんだ?」

「敵を倒すか、素材を売るかで稼げますよマスター」

 って、完全にルールに従ってしまっている。かと言って、このままでは帰れないし、記憶も取り戻したい。

 仕方ないから、神になってやる。

「大丈夫ですよ。マスターならすぐになれますから」

 こいつは心まで読むのか?

「この、クソガキ!殺してやる!」

 街全体に聞こえるような大きい声が、聞こえてきた。

 僕は野次馬精神で、声のする方向に向かっていく。

 それが、この世界からの試練だとも知らずに。

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