第23話 おのづから歩幅枯野の意に沿ひぬ

結局、二〇〇四年は俳句に関わる人とは一度も会うことなく、空白のままに過ぎていった。それまで年間二千句以上あった私の作句量も、その年は僅かに百句あまりに留まった。しかし、それでもなぜか「鷹」への投句だけは続けていた。そんな折、二〇〇五年四月某日、藤田湘子逝去を知らせる封書が「鷹」より届いた。藤田湘子とは、二年近く顔を会わせないままだった。時々テレビや雑誌の口絵でその様子を垣間見ることがあったが、痩せて衰えて行っていることは傍目にも明らかであった。藤田湘子に認められたいと願い入会した「鷹」だったが、ついにそれを果たせないまま藤田湘子に逝かれてしまった。今後どんなことがあっても、藤田湘子に認められることは一生ないのだ。そう思うと、ただ無念さばかりが胸に残った。

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