翡翠の斑

君が僕を呼んだとき

陽炎が静かに笑いかける

産声の時雨が降り注ぎ川の光が血潮になる

翡翠にも似た日々の名が

僕らの影になったとき

風が鳴らした風鈴が旅立ちの刻を知らせていた


近くにいれば見えるのに

遠のいて揺れる君の背はただ僕だけを呼んでいる

その声を辿り道を往く

決してそこに君はいない


瑠璃を砕いて春と呼ぶ

たしかに君がいた場所を

翡翠の斑に消えぬように

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