箱庭

雫が叩いた弦の音を虫たちが真似て遊ぶ頃

白む空に藍は差してしとど青は匂いたつ

トントントンと尋ねる音に応える腹の虫

緑の黒髪が濡れている

色とりどりのかんざし挿して

秋の呼び声を肌にして一つ息を吐く

吸い込む水気が洗うはこの身


静かにすべてが動き出す

空がだんだん遠くなる

薬缶が鶏を真似て鳴く

極彩色をたたえた箱庭

生命の時計の鐘が鳴る

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