第25章 地下街アラヤドB19F

 順調に軌道エレベーターは上っていき、エレベーターが止まった場所、つまり、一行が到着したのは、月光タワー101F、のはずだった。が、表記が違っていた。


 『セントラルエリア アラヤド区 地下街アラヤド B19F』


 しかも、エレベーターの出口から1歩出ると、そこは一般市民が普通に生活している感じの地下街にある地下通路常設のエレベーター、ただし、メンバーカードキーがないと動かない特別なエレベーター、しかもエレベーター前にある看板には、“従業員及び関係者専用。申し訳ありません”、そう書かれているだけだったのだ。


 当然、月光タワー1Fから車を搬入出来る軌道エレベーターを使った場合、地下街にある“駐車場”のエレベーターに出てくる事になる。


希「こ、ここは・・・・俺が『あの店』を構えていた、『あの街』の地下街・・・・下の方に、こんな所があったなんて・・・・・」

黒崎「おかえり、と言うべきなのか、少々迷うのだが、希、そういうことなのだ」

蛭子「一応作戦上、月光タワーの101Fとか120Fも使うのだが、デイライトエリアは、君たちムーンライトエリアのロールプレイングゲームのような世界と違って、住人は普通に国民として普通に生活している。それはデイライト側から落とされた、ムーンライトエリアの住人のここの全員が良く知っているだろう。だから、デイライト側に相当する階、つまり月光タワー101F~120Fのエリアは、住人が普通に生活している地下街のエリアになり、正直、これまでの様相とは全く違ってくる。地下街戦だ」

黒崎「ここの住人は、君たちのファンタジーやSFの兵器など、全く知らない、表向きは。だから、B19F~1F、つまりデイライトエリアのエントランスまでは、派手なドンパチは、普通の状態では、できない。ただし」

蛭子「ガーディアンフェザー側から、“対テロリスト対策のための非常事態発令”が出た場合、一般市民は上階に避難し、ガーディアンフェザーの“対テロリストチーム”という名の“デイライトガンのガンナー”と地下街戦と言うことになるな」


 ワーーーーン! ワーーーーーン!


警告「B19Fエレベーターより、テロリスト侵入! これよりガーディアンフェザー特務部隊による鎮圧作戦を発令します。地下街にいる住人の方々は、全員、誘導に従い、避難エレベーターをご利用になり、1Fまで移動し、地上に避難してください!」


黒崎「ほらな、言った側から…。これで、ここから1Fまでは閉鎖区域となる。さっきの八握が連絡入れたらしいな。ま、その方がこっちもやりやすい。一般市民を巻き込まなくていいからな」

蛭子「というか、そんな警告される前に、ガーディアンフェザーの刺客は紛れ込んでいるっての。所詮、カモフラージュだ」


希「で、俺たちはそうすれば…」

黒崎「閉鎖区域になった以上、地下街戦での戦闘は避けられない。ただ、これまでの塔の中の戦闘とはワケが違う。いわば、迷路を進むようなものだ」

蛭子「私はメンバーカードを使う専用エレベーターで、この階まで直通だったけど、たぶん刺客はここに入りきっているはずだから、そのエレベーターは封鎖。使えなくなっているはず。向こうも私がこっちにいるのは知っているからね」


スイート「地下街戦か…。ダークネスとのサヴァイバリングで数回やってことはあるが、苦戦したと記憶する。そもそも銃撃ってのには向かないからね」


 チャキ


 希はパンドリオンに語りかけた。


希「俺は、またココに帰ってきた。だから、まず、あの店に戻りたい。パンドリオン、力を貸してくれるか?」

パンドリオン「当然だ。Ver.2.0の、歪む顔を見たいからな」

希「ありがとう。では、全員、行くぞ!!!!!」

全員「おーーーー!!!!!」


 デイライトエリア、地下街戦の開始である。

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