藪藁(やぶわら)

Hetero (へてろ)

藪藁

 昔あるところに住む貧乏な代官の屋敷に

 ある日、狸が出るようになりました

 代官は家人に狸を捕まえるように言うと

 お代官様、うちには狸を捕まえるための罠を買うお金も有りませんと言いました

 代官は困り、ならば縄で捕らえるように言うと

 お代官様、うちには狸を捕まえるための縄を買うお金もありませんといいました

 代官は困り、ならば茶釜で捕らえるように言うと

 お代官様、うちには狸を茶釜で捕らえるための、

 えさをかうお金も有りませんと言いました

 代官は困り、ならば藁で捕らえるように言うと

 お代官様、うちには藪からでてきた狸を藁で捕まえるための、

 藁を買うお金も有りませんと言いました

 代官は困り果て、なぜ藁を買うお金すらないのだと家人に質しました

 うちでは田んぼで米を作っている、

 その藁があるじゃないかと言いました

 お代官様、なぜなら私達は藪と藁の違いが解らないからです

 と家人は答えました

 代官は、はてどういうことかと思いました。

 すると家人はこう答えました

 お代官様、なぜならここは藪藁の中ですから


 代官が気付くと、周囲は藪藁の中、

 屋敷も畑も何処にもありませんでした

 代官はこういいました


 さては狸に騙されたなと

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