聖夜の聖騎士[HolyKnight of HolyNight]

煌木咲輝良由花

プロローグ

 それは、ある聖夜の出来事だった──。


 男の美しい顔が歪んだ。

 憤怒の表情だった。

「あの神……! オレを殺すつもりだったのか!」

 舌打ちをして、両の掌を合わせる。ぶつけ合うような勢いだったために、大きな音がした。

 直後、空中に剣が現れる。光を発しながら浮遊する、ドラゴンを模した大剣だ。

 聖なる剣に手を伸ばした男は、その柄を両手で握り締めた。

「だったら、オレが貴様を殺してやる! 待っていやがれ、神!」

 背中にある2枚の翼を羽ばたかせ、魔物の群れに突貫する。

 血しぶきが舞った──。



「神」と呼ばれる者達がいる。

 その数は12。

 誰かが神の資格を失えば、新たに神が補充される。それを繰り返し、幾星霜。

 いつの頃からかは定かでないが──世界の始まりと同時とも、それよりも前とも言われるが──神の数は、常に12を保っていた。

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