だぶくろ!

@kumomusi

前置き

 某日某所。

 とある休日の昼下がりにて。


GM ダブルクロスをやります。

佐藤 お? シナリオ出来てんの? 新しい奴?

田中 新しいシナリオ? 大丈夫かな? 幼女爆発しないシナリオ?

GM 大丈夫です、幼女は爆発しません。というか、なんですか、幼女爆発って。そんな頭のおかしいシナリオ書く人が居るんですね、ドン引きです。

伊藤 うう、助けられなかった……ちくしょう。

佐藤 ここに! ここに一人! お前の被害者がいるんですが!

GM それは過去の俺に言ってください。現在の俺とは無関係です。

田中 一応訊くけど、あの幼女たちは助けられるエンドあったのー?

GM セッションにおいて、エクストラの命など塵芥程度ですよ。後、鬱セッションと予告しました。

伊藤 こいつは時々、世界を呪っているんじゃないかってレベルの鬱を放り込むからな。

佐藤 一見、常識人に見えるけど、軽くサイコパスだよな。

GM 三股男が何かを言っていますね?

佐藤 お?

GM あ?

田中 もう、喧嘩は駄目だよー(瞬く間に両者の腕をひねり上げながら)

GM がぁああああああああ!

佐藤 ぐあぁああああああ!

伊藤 こいつだけは敵に回したくないな、武力的な意味で。

GM うおおう、と、とりあえず、後一人来るから、そいつが来たら、トレーラーを発表してハンドアウト配りますので。

佐藤 お、オッケー。争いは何も生まない、理解したぜ。

田中 そういえば、後一人、誰を呼んだの?

GM ああ、木原の奴ですよ。あいつ、今日は休みらしいので、呼びました。


 ぴんぽーん。

 ここで、玄関のインターフォンが鳴り響く。


GM お、噂をすれば影という奴ですね。ようこそ、いらっしゃい。

鈴木 やぁ、どうも。お邪魔するよ、諸君。

佐藤 あれ? 鈴木? 木原は?

鈴木 彼は急な腹痛で休みだよ。それでセッションメンバーに穴を空けるのも難だな、ということで私が代理としてやってきたのさ。

田中 なるほどねー。まぁでも、鈴木ならそれなりにダブルクロスの経験もあるし、特に問題はないよね、GM?

GM …………

伊藤 おい、GMが窓から逃亡を謀っているぞ! 止めろ! ここは三階だ!

佐藤 そういえばこいつ、昔から鈴木だけには弱かったんだよな。

GM やめてください、離してください。こいつは怖いのです。

鈴木 おや、酷いことを言うね、君。君と私は幼いころからの親友じゃないか。

GM 親友であるのなら、今すぐ貴様は机の引き出し、その三段目に仕舞ってあるアルバムを全て燃やしてください。

鈴木 嫌だよ。あれは正当な対価として君から貰ったものだもの。

GM 対価と言うか、そもそもよく考えたらあの心霊現象はテメェが主な原因で――

伊藤 おい、GMの敬語が崩れたぞ! やばい証拠だ、落ち着かせろ!

田中 あいあいさー。

佐藤 なんか、GMと鈴木の日常だけジャンルが違うもんな。伝奇ジュヴナイルな青春送ってたもん、こいつら。


 一旦休憩。

 十数分後に再開。


GM 申し訳ありません。取り乱しました。

鈴木 構わないよ、続けておくれ。

GM …………仲間外れは良くないし、セッションは真面目にやるので、鈴木の参加を認めます。ただし、俺へのセクハラが見つかり次第、田中による強制排除です。

田中 この卓のモラルは私に託された!

伊藤 田中だけがこの卓の良心だな。

佐藤 伊藤は普段は真面目だけど、セッション中は弾けるからな。

GM では、トレーラーを発表します。



【トレーラー】


 昨日と同じ今日

 今日と同じ明日

 それが毎日続くのだと、当たり前のように思っていた

 日常の裏側で、どれだけの異常と異能が渦巻いているかも知らずに


 「ごめんね――――私、君を死なせちゃった」


 過去を失った復讐鬼が目覚める時、忌まわしき闇は暴かれ

 秩序と欲望の狭間で、超人たちの抗争が始まる

 全ては、神降ろしの巫女を巡って 

 

 ダブルクロス The 3rd Edition


 「Bloody juvenile」


 ダブルクロス――――それは、裏切りを意味する言葉。


GM んじゃ、ハンドアウトを配りますね

全員 おー!



●●●



 次話から小説が始まります。

 え? 今回、全然ダブルクロスやってねーじゃんかよ! ですって? それに関してはあれですよ、その、つまり。

 ダブルクロス――――それは、裏切りを意味する言葉。

 貴方のなけなしの期待を裏切った……はい、すみません、次回からちゃんとダブルクロスです。異能バリバリ出てきます。超シリアスですよ、多分? うん、きっと。

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