幕間3 決戦前夜
「…良かった…!!本当に良かった…オ~イオイオイ!!!」
スナック『ワンチャンス』のカウンターで噴水の様に涙を吹き出し号泣するブタバナフグのピグ。
「ピグの旦那~嬉しいのは分かるがちょいと飲み過ぎだって…」
「まさかピグがこんなにも泣き上戸だったとは…」
ピグを両サイドから挟んで介抱するダニエルとユッキー。
「あら~ん、何か良いことあったんですか~」
このスナックのママがカウンターに頬杖をつきながら訪ねて来る。
「いえね…オレのマスターとピグの旦那のマスターが仲直りしたんですよ
二年振りにね…おっと!!」
「そうなんです!! 私のマスターは根はとってもいい子なんですが、ダニエル殿のマスターと過去に色々あって性格がねじ曲がっていたんです!!
ですがその二人をユッキー殿のマスターが仲を取り持ってくれたんですよ!! ありがと~!!」
ダニエルが言うか言わずのうちにピグが彼を押しのけ大声で割って入った、普段は控えめなのに飲むと少し乱暴になる様だ。
「あら~ん、そう~それは良かったわね~ん」
ママは優し気な笑みを浮かべている。
「明日は守銭奴ラゴンの討伐なんだ二人とも程々にしておけよ」
「何ですかユッキー殿~こんなめでたい日にちょっと位いいじゃないですか~プハ~」
「うっ酒臭い…!! こいつがこんなに酒乱だとは思わなかった…」
顔を歪ませ呆れかえるユッキーだったが、今までの顛末を知る身としてはピグの気持ちも分からなくは無い。
長年のわだかまりが解けたのだから。
「リスの旦那…オレもあんたのマスターには感謝してるんだぜ…
ウチのマスターも人間不信をこじらせて金で取り巻きを作っていたが、そんなんじゃ肝心な時に裏切られる…オレもそれに乗っかっていた訳だからデカい口は叩けないんだけどな…」
確かにダニエル自身もプリカを配っての懐柔策をカオル子に提言していた彼も今は反省しているのだろう。
「フッ…あのコには色々と驚かされてばかりだよ…
これはあれだ…伝説の魔法少女『
「ハハハ…それに違いない!」
二人は冗談めかして笑い合った。
『
ファンタージョンの住人なら知らない者はいない程の伝説の人物である。
「グオオオオオ!!!スピ~~~~~!!!」
けたたましいいびきをかきピグがカウンターに突っ伏していた。
「何だピグめ酔いつぶれて寝ちまったのかよ…」
「しょうがない…今日はお開きだなリスの旦那…ママお勘定」
「は~い!毎度ありがとうございます~また来てね~ん!」
ユッキーとダニエルは両脇からピグを担ぎバーを出て行った。
すると店の奥で飲んでいる黒ローブの人物が席を立ち三人が出て行く様子を出入り口から少しの間見つめていた。
だがこの時点で明日の戦いが最悪の展開になる事を誰が予想できただろう…
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