僕と幽霊と
黒辻鏡花
第1話
無機質な空間に真っ白なベッド。
そこに横たわる最愛の人。
この夢を見るのは何度目だろうか。
彼女が死んでから一体何年たったのだろう。
今では後悔ばかりが押し寄せる。
もっと大事にしてあげればよかった。
そう願っても無意味だというのに。
朝がきた。僕は朝が嫌いだ。虚無感が増すばかりでなにも心地よいとは感じられない。そんな冷めきった僕に愛想がついたのか飼っていた猫も何処かへ逃げてしまった。友達もいなくて、彼女と猫しか生きる希望ではなかったというのに。それが二つとも消えてしまった。空っぽになってしまった。
簡単な朝食を取り、家を出る。大学には通っていたが彼女との思い出しかないあそこは行きたくない。思い出してしまう。重たい気持ちを引きずり、バイト先へと向かう。
さぁ、今日も退屈な一日の始まりだ
僕と幽霊と 黒辻鏡花 @kyouka0521
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