青春の星屑

朱音

▽はじまり

全ての始まりはここからだった。


この動画から、始まったんだ。



「....第4回ユニット、オーディション....?」


いつもの軽音部でのこと。

この学校の軽音部は緩い、自分がやりたいことをやるような、そんな自由さが売りだ。

そんな軽音部でも、ちゃんとやる時はある。


例えば、blue starとしての動画作成とか。


ちなみにblue starっていうのは、僕ら軽音部が作った音楽ユニットで、よく有名な動画サイトに歌をあげていたりするんだけど、やっぱり他のユニットよりも経験が浅かったりするせいか、なかなか表にはでることが出来ない。

まぁそれでも、僕はこのユニットが大好きだ。


「なぁなぁ、葵。お前はさ、このオーディションに出たいと思うだろう?」


話しかけられて何かと思えば、さっきまで自分で持ってきたパソコンを見つめていた、狗音先輩だ。狗音先輩が指差しているパソコンには、でかでかと第4回 ユニットオーディションと書かれてある。


「狗音先輩はそういうの好きですね....僕は別に、いいと思いますけど」


そう返事して、僕は床から立ち上がって、近くの古びた椅子に座った。ちなみに軽音部の部室は第3音楽室という古びた音楽室だ。第2音楽室は吹奏楽部、第1音楽室は合唱部に使われている。第1音楽室とかは設備がしっかりと整っていたり、音の反響がよかったりして、何かと人気だけど、第3は酷いもので、あちこちに楽器が置かれて物置みたいで、使うスペースも限られてしまうし、設備もあまり整っていない。僕らの学校には新校舎と旧校舎があるんだけど、第1、第2は新校舎で第3は旧校舎の端にあるから、移動もめんどくさい。

それにしても、これはとことん酷い扱いだよね、これさ。だから、そんな酷い扱いから逃れたくて狗音先輩は、オーディションとか探したり、ユニットを作ったりやらなんやらしてくれている。


「....おっ!やった!全員賛成ということで!第4回、ユニットオーディション!参加するぞー!!」


いつの間にか全員に聞き終えてたらしい、狗音先輩が嬉しそうに声をあげた。

僕らも、狗音先輩のテンションにのるようにして、声をあげた。


「「おぉぉぉぉぉ!!」」


これが僕らの運命を、変えていくことになるとは知らずに。

僕らは嬉々として、そのオーディションへの参加ボタンを押した。

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青春の星屑 朱音 @akane0707

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