第12話

「――とまぁ、そんなメールなんですけど」

「ははははは! いいね、これは面白い!!」

「えっ、そんなに面白いですか」

 はて、そこまで面白いものでもないと思うけど。

「ああ、こんな面白い話があるか。友達のいない君に、友達に送らなくてはいけないチェーンメールが送られてくるとはね」

「そこは面白いところじゃねえ!!」

 この人は鬼か?

「ははは、冗談だよ。嘘ではないけどね」

「一言余計ですよ?」

 この人は鬼だ。

「……まぁいいです。ところで、あなたはこのメールを知っていますか?」

「君のような人間に送られてくるくらいには広まっているんだ。私は知っているよ」本のページをめくりながら彼女は言う。「加えて言うなら、このメールについてはもう調べ終わっている」

「何を調べたんです?」

「出所と広まった理由についてだよ」

「……でも、チェーンメールなんて現象を遡って調べることなんて可能なんですか?」

「不可能ではない。特に今回は特殊だったしね」

「特殊ですか?」

「ああ。その辺も含めて、説明してあげるよ。どうやら君は、そのために私のところに来たみたいだしね」

「ははは、ばれてましたか」

「そんなに質問ばかりしてたら分かるよ」

 本を閉じながら、彼女は言った。

 話に集中してくれるのかと思ったが、どうやら違ったようだ。

 読み終えた本を自分の右側に積んで、次の本を準備しながら彼女は話し出した。

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