出逢い
@shino_kyosuke
第1話
生まれてこの方モテた事は一度も無い
周りに居る女に話し掛けるなどとんでも無い
そんな事、した試しが全く無い
そこで考えた
こんな頭でも少しは考える事は出来る
「出会いサイト」
この耳新しい魅力的な単語を聞いたのは今から10数年前
女と面と向かうことが無いのなら俺にも出来る
よーし、踏ん張りすぐに登録した
「メールなら出来るぞ!!」
そう意気込み始めた出会いサイト
その失敗談・・・成功する訳が無い・・・を書いていく
男は出会いサイトで騙され、カモられた末、一人の女と出逢う
その女は、どこから見てもありふれた何処にでもいる女だった
しかしその出逢いが、男の人生を一気に変えてしまう
27歳のモテない男、その名前を京介と言う
男のそれまでと、これからのターニング・ポイントを握る女
41歳の魔性の女、その名前を真理と言う
彼女がこの物語の主人公
最初に入ったのが、頭に「あ」の付く所だった。
いやー、驚いた。
掲示板に書き込むや否や、何通ものメール。
「京介さん、初めまして。里奈と言う23歳のOL・・・」
一日に女からメールがこんなに来た事なんて一度も無い。
いや、女から来たこと自体が全く無い。
「俺ってモテル?」
そんな事ある訳無いのに、そう思ってしまう程のメール。
その中で一番仲良くなった一人のメール
「あたし、今度こっちに移ったの・・・」
そこは有料のサイト、だった。
その当時の正確な値段は忘れた。
メールの送受信で確か300円ほどだったと思う。
そりゃ「高い!」とは思いましたよ。
でもね、上手いのですよ、返信をさせるのが。
10回の送受信で3000円。
段々と核心に迫ってくる、厭らしい文面。
女から、こんなこと言われたのも書かれたのも勿論今まで無い。
嵌ってしまったのは当然でした。
何万円使ったのか忘れる位になって「これはイカン」と俺でも考えた。
送信の回数を少しずつ減らしていた、その時
「京介さん、会わない?」
待ち合わせの日時と場所のやり取りだけで、7・8回のメールの往復。
この間のメール代は全く頭に無かった。
それ程、舞い上がっていたと思う。
二人きりでのデートなど一度も無い男にとって、嬉しさより怖さが勝っていた。
最初にどう挨拶しよう?
どんな事を話せばいい?
どこに行こう?
取り敢えずは喫茶店か?
何を着て行けばいい?
やはりスーツかな?
いや、ジーンズにジャケットにするか?
頭中がデートのことばかりで仕事になら無い。
最初に会った時からの話を箇条書きにした。
どうせその通りには話せない、とは考えた。
でも、何行にもなるその架空の会話を書き綴った。
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