第2話 菌の鳥と境界の事情
芥子を練っていると、当然のように都鳥がやってくる。
彼らは挨拶もそこそこに、その細いくちばしで、見てきたこと、見てこなかったことをせわしなくおしゃべってくれる。
本当は納豆を所望しているのだが、私の工房では納豆を・・・する時には、菌を極力拡散させぬための呪結界を張ることにしているので、彼らは菌の気配を読み込むことが出来ず、仕方なしに芥子に反応してやって来るのである。
彼らは、どうやら豆糸で何かを作っているらしいのだが(はっきりとは教えてくれない)彼らの工房のある広い入りくんだ花崗岩の海岸で起こる出来事を聞くのは、結構楽しい。たまに嘘っぽい話も混じっているところなども、面白さを引き立てているように思える。
まあ、人界と人外境の境界では、いろいろと興味深いことが起こるものではあるが。
そういうわけで、我が工房では都鳥に配慮し、御田(関東煮)や熱い犬を食する時には芥子を出さぬようにしているのである
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます