第62話① 冬(釣行決定)
年が明けて本格的な寒波到来。
既に何回か言ったとは思うが、改めて!
筑豊の冬は寒い!とにかく寒い!
福岡県内ではトップクラス。
内陸部の盆地なので放射冷却がハンパない。
秋になると冷え込みが厳しくなり始め、昼と夜の気温の差が大きくなる。
そうなってくると濃霧が発生する。激しいときは数10メートル前を走る車のテールランプが見え辛くなるほど。
大変危険で交通規制が出たりする。
さらに季節が進むと霜。とにかく激しい。毎日のように凍りまくる。窓ガラスの室内側が結露して凍ることもそれほど珍しいことではない。
そこまで冷え込むと、田んぼの水たまりに子供が乗っても割れないくらいぶ厚い氷が張ったりもする。
これほどまでに寒いのだから、雪も当然の如く積もる。
以前、北海道事業所の社員がいちばん冷え込む時期に視察で訪れたことがあった。
運良く(?)積雪していて本気で驚いていた。
南国のイメージが強い九州なだけに積雪しているなんて夢にも思っていなかったらしい。寒さに震えあがりながら施設を見てまわったり研修を受けたりしていたため、見ていて気の毒になった。
雪国の人だから寒さには強いのかと思い聞いてみたところ、逆に寒がりの人の方が多いとのこと。北海道事業所の社員が言うには命に係わるほど極寒のため、暖房設備が充実していて冬場は外に出るようなことはあまりないのだそうだ。よって、寒がりが多いのだとか。
その話を聞き、なるほど!と感心してしまった、ということを思い出す。
寒さネタに関しては大学時代にも盛り上がった。
ユキの出た大学は、余所の大学と比較すると県外の人間の割合が多い。福岡県民は15~20%程。通常1/3~1/2程は所在地である県民で占められているみたい。
なので。
県外の友達は出発の時、常夏のリゾート地にでも行くような感覚で送り出されるそうだ。
冬が無くていいね!
とか、
一年中泳げるね!
とか、
トロピカルフルーツいっぱい食べれるね!
とか、他にも色々超絶南国なワードを連発され、本人もその気になってやってくるらしい。
だから、引越し初日から極寒を経験することになる。
地元を出発するときは寒いのでそれなりの上着を着てはいるが、飛行機や新幹線を降りたあと、脱いだ上着を持って回るのが面倒臭いのでは?と思うらしい。
でも実際、空港や小倉駅に到着すると何やらやっちまった感が漂い出し、本格的に外に出た時、
しまった!地元よりもはるかに寒いじゃないか!
と思うのだそうだ。
筑豊の4月はまだまだ寒く、初旬だと霜が降りることがある。というか、極端な話、気圧配置次第では雪が降る。まだまだ暖房器具は必需品だし、寝るときもガッツリ布団を着こまなければ、とてもじゃないが眠れない。
寮一日目の夜があまりにも寒すぎて、着てきた服以外は半袖半ズボンとタオルケットしかなくて、どうにもならなくてエアコン全開。着てきた服の上に入学式用のスーツ着て寝た!と言っていた友達も一人じゃなかった。次の日、大慌てで冬服と布団を送ってもらうよう、実家に電話したと話していた。
後期試験も全て終わり、慌ただしかった一年生が終わる3月上旬。
寮にいれば金がかかってしまうため、最後の授業が終わると寮生はソッコー帰省するわけだが、この時地元の友達と筑豊の寒さの話題で大盛り上がりするらしい。旅立つ時に言われたトロピカルな情報が全て間違いだったことについて事細かに説明すると驚愕されるみたい。その盛上った話を前期が始まる4月に聞かされることになる。
独り歩きしてしまっている九州=超温暖というイメージに思わず苦笑してしまうのであった。
この冬も例年の如く冷え込みまくり。
桃代という名の肉布団(抱き枕?)が手放せない。それはもういろんなところを弄りながら、しっかりと抱きしめて眠る。
ま、これは冬限定ではなく年中のことなのだけど。
去年の冬、超絶久しぶりにやってから、これまでずっとオニのようにやりまくり。そのうち落ち着いてくると思われたのだが、そうはいかないみたい。
離れていた間の寂しさのリバウンドが激しくて、高校時代よりもはるかにやりまくっている現状。これは決して「淫乱」というわけではなく、「寂しさの後遺症」という表現が最もシックリくる。
毎回ナマで中出しなのに、未だに次の子ができないのは、やり過ぎて精子が濃くなる暇が無いからだったりする。
とにかくくっついてユキ成分を補給し、傷ついた心を必死に修復している。ユキもなんとなく分かっているので求めてきた時は何がなんでも応えるようにしている。
といった二人えっち事情はさておき。
ここ数年、暑さも落ち着きだす秋頃に「今年の冬は暖冬傾向にあり…」というワードを必ずニュースで聞くのだが、それを言うと必ず数度、交通機関がマヒするほどの大雪に見舞われる。
言わんやったら降らんのやない?
とか思っているユキと桃代であった。
話しが逸れた気がしないでもないが、冷え込みまくり。
この年は11月中旬に初めてクルマのガラスが凍った。
まさかの凍結で、朝っぱらから風呂の残り湯を持って走り回った。
それから一度暖かくなり、月が替わった12月。
中旬過ぎ、大寒波の襲来により一気に冷え込み、初雪。
今年のラストフィッシュはいつになるのか考えながら釣っている最中のことだった。
それから年末にかけて雪は降らないものの比較的寒い日が続き、水温が安定した正月休みの30日がこの年のラストフィッシュとなった。既にお腹に卵を持っている45cmのグラマラスな女の子。ベイトタックル(フィネスじゃなく普通のヤツ)で釣れたのが嬉しかった。
というわけで、話しは色々と飛んだが今回のテーマは冬の釣り。
以前、やった冬バスの話の大人版なのであります。
ではでは。
バスブームにより、釣ることが難しくなってどれくらい経つだろうか?
3年?4年?否、もっとか?
年数のことはまぁいい。
とにかくそう簡単には釣れないのだ。
今の流行はフィネス。
お約束の越冬場にやってくるオカッパラーのみなさんの武器はスピニング1本、ベイトフィネス1本というのが定番みたい。スモラバや軽量ダウンショット、小さなストレートワームのネコリグやジグヘッドワッキー、シャッドといったものを投げたおす。
ユキも試しにやってはみたものの…釣れない。アタリすらない。
完全に見切った感が漂いまくる。
そんな釣り場にも少し変化が現れ出した。
一カ所で粘る人間が少なくなり、入れ替わりが早くなったのだ。
クルマがやってきたので「イヤやなぁ」と思いながらも釣っていると、少しの時間やって(大体2~30分)すぐに去っていく。あまりの釣れなさにランガンのペースを上げたのだろう。
ユキ達がやる釣りは回遊待ち。
ずっと同じ場所で粘って釣る。
数釣ることには向かないが、確実に一本!という時には有利なことがある。
気分転換のため移動することはあるが、そのポイントから少し動くだけ。
基本同じ場所なのだ。
クルマを使って場所自体を変えることはしない。
他の人のことは知らないが、これで1週間~10日に1本ペースぐらいで顔を拝めている。
この釣果が多いのか少ないのかは全くもってわからないのだけれど。
土曜日。
昼食も終わり、お腹も落ち着いた。
今日は何の用事も無いから釣りに行こう。
早速千尋にメッセージ。
『釣り行こうと思いよるけど一緒行かん?』
『いーね!どこ行く』
『前の川の越冬場所』
『分かった。用意してそっち行く』
『了解。待っちょく』
といったやり取りの後、待つこと10分。
「ユキ~。」
「は~い。今、行く~。」
桃代と二人で出ていくと、
「よっ。」
菜桜もいた。
今日のメンバーはユキ、桃代、菜桜、千尋の四人。
「サブいきクルマでいこ?」
ユキがそう提案すると、
「マジで?んじゃもう何本かサオ持ってきていい?」
「いーくさ。積み込みよくき持ってきーよ?」
「分かった。待っちょって。」
そう言ってタックルを追加するため家に戻る千尋と菜桜。
しばらくして、
「わりー。遅くなった。」
「ううん、そげなことないよ。載せり。」
「うん。」
大して遠くはないのだけど寒いのでクルマを出す。
荷物の積み下ろしが楽ちんなユキのレジアスエースで出撃だ。
ワンボックスなので、何も考えずにタックルを積めるのがいい。
現場に到着。
既に数名の釣り人がいるが、幸いなことにユキ達が狙いたいポイントは全て空いていた。
自分の考えていたタックルを持ち出し場所を取る。
開始時のタックルは以下の通り。
ユキ
スピニング:セルテート2506+ブラックレーベルSSS6101MLXS
ベイト:リョウガ2020+ラグゼエクスプラッシュB70H、カルカッタコンクエスト100+サイラス68MG
桃代
スピニング:ルビアス2506+ブラックレーベルSSS6101MLXS
ベイト:リョウガ2020+ブラックレーベルFM7102MHRB、リョウガ2020+ブラックレーベルPF772XHFB。
菜桜
スピニング:ルビアス2506+ブラックレーベル691MLMFS
ベイト:メタニウムMg+バロウズ64H、TDジリオン100P-CC+サイラス68MG。
千尋
スピニング:ヴァンキッシュC2500HGS+ファンタジスタYABAI64L MGS
ベイト:ミリオネアHL-SLC凛牙103+ハートランド白疾風。
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