それでも私達は。
瑠衣
プロローグ
桜咲き誇る春。四月八日。県内唯一の女子高では、今まさに入学式が終わったばかりだった。
既にいくつものグループに分かれ始めている新入生の集団は、ぞろぞろとそれぞれの教室に向かって進んでいる。同じ中学校の出身同士で集まっている者、共通の趣味を見つけて喜んでいる者、クラスメイトの顔と名前を必死に覚えようとしている者、どのグループにも入れずに一人でいる者…。
男子という生き物がいないこの場所で、これから始まる高校生活はどんなものだろうか。期待と不安を胸に秘めた新女子高校生たちの間を、暖かい春風が、桜の花びらと共に吹き抜けていった。
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