2.同好会は仲良く活動中!
『ソーシャルゲーム同好会』、略して『ソシャ会』。
俺の友人である
元々は正式な部として成立していたのだが、目的が曖昧だと風紀委員に指摘され、廃部になってしまったのだ。
◇◆◇◆◇
俺は今、旧校舎にあるかなりボロい教室でソシャ会の活動…バトルオブハニーをみんなでやっている。
「とりあえず一人ずつ引き当てたキャラクターを召喚していこうぜ」
武藤がニヤニヤしながら言う。
この表情からして武藤はかなりの豊作だったのだろう。
対して原吉の表情は……凶作だったのだろう。
俺も一番始めは嫌だな。
「あれ、誰も言わないのかよ?仕方ねえな…俺から召喚するぜ」
武藤は自分のノートパソコンを開き、自信ありげに召喚ボタンをクリックする。
すると、赤い光が二つほど輝き始め、段々と二人の美少女が出来上がっていく。
二人とも巨乳だ。でもって片方は少し気が強そうな顔をしている。
「こんにちは。私の名前はサクヤ。種族は魔術師で、得意な魔法は催眠魔法よ」
「初めまして、レイフィアといいます。種族は聖騎士です」
……勝っただろ!
武藤から見ればどうかは知らんが、俺から見ればリオの方が百倍可愛い。
マスターのひいき目ってやつか?
俺は口元を少し歪め、不敵に笑う。
「じゃあ次は俺の番だよな?」
「あれ?二人ともなんかないのか?」
「特になにも」
ふと原吉の方を見ると、下を向いたまま黙り込んでいる。
こりゃ相当ショックを受けたんだろうな。
俺のリオを見たらもっとショックを受けるだろう…可哀想に。
「ッ!本当になにもないのか?」
「だからねえよ。じゃあもう召喚しちゃうぞ」
俺は武藤の返事を聞く前に召喚ボタンを押す。
すると、先ほどより強く、そして綺麗な青色をした光が輝いて、リオが召喚された。
「こんにちは。私の名前はリオです!ちなみ種族は魔術師、レベルは最大です」
まあ15だけどね。
でもそんな自慢をするところまで可愛い!
これは武藤にめちゃくちゃダメージが……
「こりゃサクヤたんとレイフィアたんの方が可愛いぜ!」
…………
「いやいや、リオの方が可愛いだろ!」
今だってリオだけ赤面してるし…
「え?サクヤたんとレイフィアたんの方が普通に可愛いだろ。なあ原吉?」
原吉は机に突っ伏して返事が無い。
「原吉?まあいいか…ってか原吉だけなんも召喚してねえな。早く召喚しろよ」
原吉は一瞬ビクッと反応する。
何か触れてはいけないモノに触れてしまったようだ。
そして、原吉はこちらを生気が感じられない無機質な目線で見ると、重々しく口を開く。
「俺は…いい…」
空気を読めない武藤は嫌味ですらなく言う。
「え?なんでだよ?」
原吉はさらに重々しく続ける。
「………しか」
「え?」
「…男しか出なかったんだよ」
やっと武藤にも空気が読めたのか、この場で唯一光続けていたKYという名の太陽が沈むのを、俺にも観測できた。
「へえ…そうか、残念だったな…じゃあ東川、俺たちだけでも対戦でもするか?」
「そ、そうだな」
俺はそう言って『オンライン対戦』というのを選択する。
学校の無線はかなり前に登録済みだ!
暫くしてリオ、そしてサクヤとレイフィアも淡い光に包まれて消えていった。
『『マスター!』』
双方のノートパソコンから萌えボイスが聞こえる。
ああ、デスクトップでもやってみたいな。
そんな現実的な理想を考えながらも、俺は対戦開始ボタンをクリックする。
「よしリオ、今回は剣は使わず魔法による遠距離攻撃だけにしろ!」
「サクヤ、向こう側に負けないようにこちらも遠距離攻撃で対抗するぞ。レイフィアはサクヤの護衛に回ってくれ!」
『『『了解です!』』』
リオはオーバーキル級の魔弾を撃つ勢いで魔力を貯めている。
そして、相手側を見ると、サクヤとかいう魔術師も同じ事をしている。
今のうちに壁を作らなければ…
『カチャカチャ!カチャカチャカチャ!』
俺はあえて攻撃系統の支援コマンドは打っていない。
何故なら攻撃はリオに任せても大丈夫だと確信しているからだ。
相手側を見ると、同じ事を考えているのか、サクヤ達を守る壁だけが淡々と出来上がっている。
「リオ、そろそろ撃てそうか?」
『はい、いつでも大丈夫です!』
「よし、それじゃあ…」
そして、たまたま武藤と声が重なる。
「撃て!」
リオの杖から特大の、それこそオーバーキル級の魔弾が撃ち出される。
しかし安心してはいられない。
相手側のサクヤも同じくらい大きな魔弾を撃ち出したのだ。
両者の魔弾は同じ直線上を飛んでいる。
これはぶつかるぞッ……ぶつかるまであと、5、4、3、2、1…
『ピーー』
突然バトルオブハニーが強制終了された。
そしてそれとともにリオ達が三次元へと戻ってくる。
何が起きたんだ!?
ちゃんとコンセントをつけてやっているから充電切れという訳でも無いだろうしな…
「おい…東川…」
武藤も何が起きたのか分からないという様子だ。
しかし、そんな俺たちの疑問は次の瞬間に胸糞悪く解明される。
『ガラッ』
こいつか…
「………二人ともどうしたのかしら?そんな怖い顔しちゃって?」
「お前がやったのか…?」
そこには俺たちの部活を潰した張本人、風紀委員会会長、
「え、私はゴミしか使っていない旧校舎の無線を消しただけだけど、何か文句でもあるのかしら?」
「大アリだ!お前のせいで部活が潰れた、それでも同好会としてなら活動していいって事になったから俺たちは納得したんだ…なのになんで邪魔するんだ!」
武藤も姫宮を邪険な目で睨みつける。
しかし、姫宮は全く怯む様子を見せず、さらに続ける。
「あんなの生徒会が決めた事でしょ……私はあんな甘っちょろい結果認めていないわッ!私は貴方達が同好会程度でも活動している事が許せないのよッ!」
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