エピソード38/発表会

俊之としゆき「それじゃ~、やるか」


絵美えみ「誰から発表をするの?」


由佳ゆか山ノ井やまのい君からで、いいんじゃない!?」


木綿子ゆうこ「そうね。どうせ、1番だと思うし」


俊之達4人は今日、期末テストの成績表を渡されたのである。


そして俊之の家に集まって、発表会をする事になった。


俊之「じゃあ、俺からいこうか!?」


絵美「うん」


俊之「当たり」


木綿子「やっぱり」


俊之「まあ、当然だな」


由佳「もう、こんなのは放っておきましょうよ」


俊之「何だよ、それ」


由佳「あんたは、もう別格なのよ」


俊之「あはは。そか」


絵美「次は誰?」


俊之「絵美は最後がいいんじゃないか!?」


木綿子「じゃあ、由佳、いってよ」


由佳「分かったわ。私はね。76番」


俊之「よく頑張ったじゃん」


由佳「山ノ井君に褒められても、余り嬉しくないわ」


俊之「素直じゃねーな~」


由佳「素直に言っているのよ」


絵美「じゃあ、次は木綿子~」


木綿子「うん。私は49番でした」


由佳「すごいじゃ~ん」


木綿子「でも、前回の絵美には届かなかったわ」


絵美「えへへ」


俊之「長谷川はせがわもよく頑張った」


木綿子「ありがとう」


俊之「ほれ、佐藤さとうも長谷川を少しは見習えよ」


由佳「うっさいわね」


木綿子「それじゃ、最後は絵美ね」


絵美「へへへ。私はねぇ~」


由佳「何、勿体付けてるいのよ」


絵美「82番でした」


由佳「やった」


絵美「やっぱり、私は前のテスト、まぐれだったみたい」


由佳「当然でしょ。でも、これで、やっと絵美を更正させる事が出来るわ」


木綿子「そうね」


絵美「そんな事を言って、由佳とは大して変わんないじゃん」


由佳「何を言っているのよ。この少しの差が大きいんじゃないの」


俊之「あはは」


絵美「俊君、何、笑っているの!?」


絵美に窘められて、俊之はすぐに笑いを止めた。


木綿子「あはははは」


由佳「山ノ井君、だらしないわね」


俊之「うるせーな」


由佳「私達には態度、でかいくせしてね~」


木綿子「本当に絵美には、てんで弱いんだから」


俊之「そんなの当たり前だろ」


由佳「何が当たり前よ。変態のくせして」


木綿子「あはははは」


絵美「あはははは」


俊之「絵美まで笑う事はないだろ~」


絵美「だって、可笑しいんだも~ん」


俊之「そんなに笑っていていいのか!?絵美はドベだったんだろ」


絵美「もう~、せっかく忘れていたのに~」


由佳「別に忘れる必要なんてないじゃん」


絵美「何で?」


由佳「それが、あんたの実力なんだから」


絵美「何で1点差で、こうまで言われなきゃならないのよ~」


木綿子「それが絵美ってもんじゃない」


絵美「もう~、木綿子まで~」


俊之「まあ、いいじゃないか。1点だったら、すぐに抜き返せるよ」


絵美「そうだね」


由佳「何を言っているの。私はもう二度と不覚はとらないわ」


俊之「そんじゃ、勉強をすっか」


由佳「あんた、馬鹿じゃないの!?」


俊之「何でだよ!?」


由佳「テスト、終ったばかりなのに」


絵美「私も由佳に賛成~」


木綿子「私も賛成かな」


俊之「仕方がないな。今日くらいはいいか」


由佳「何、また馬鹿な事を言っているの?」


俊之「おかしいか?」


由佳「おかしいわよ。そんなに勉強、勉強ばっかり」


俊之「じゃあ、どうしろって言うのよ!?」


由佳「冬休みが終わるまでは勉強を休めばいいじゃん」


木綿子「私もそれがいいな~」


俊之「じゃあ、佐藤と長谷川は休めばいいじゃん」


由佳「何よ、それ」


俊之「俺と絵美は明日から、また勉強をするよ」


絵美「えーーー」


俊之「絵美が嫌なら、俺一人でもするよ」


絵美「駄目。私もする」


俊之「という訳だ」


木綿子「由佳、どうするの?」


由佳「私達は冬休み明けからでいいよね」


木綿子「うん。それがいい」


由佳「こんな馬鹿共に付き合ってなんか、いらんないわ」


木綿子「そうよね~」


俊之「だから、別に構わないって。その分、絵美は佐藤くらいは抜ける様になるのかもしれないし」


絵美「そうだね」


由佳「そう上手くはいかないわよ。冬休みが明けたら、ばっちり勉強をするから」


俊之「まあ、いいさ。それより、お前等、年末年始はどうするの?」


由佳「私は家族と親戚で温泉とスキーに行くんだ」


絵美「いいな~」


俊之「豪勢だな~」


由佳「そうかな!?ウチは毎年、そうだよ」


木綿子「十分に豪勢よ」


俊之「そう言う長谷川は?」


木綿子「私は多分、お父さんの田舎へ行くと思う。毎年、行っているし」


俊之「そか」


絵美「田舎って何処なの?」


木綿子「静岡なんだけど、すごい田舎で何にもないんだよね」


由佳「そうなんだ」


木綿子「でも、お年玉は結構、貰えるから、それは楽しみかな」


絵美「いいな~。私は今年は何処にも行けないし」


俊之「いいじゃん。俺なんか、毎年、何処にも行っていないよ」


木綿子「そうなんだ」


俊之「うん。俺んチは両親とも実家が近くだからさ」


由佳「ウチもそうだけど」


俊之「それにウチはスキーなんか行く余裕もないし」


由佳「そっか」


俊之「だから、絵美は沢山、俺と一緒に居てくれよ」


絵美「うん」


木綿子「はいはい。ご馳走様」


由佳「もう、そのパターンは飽きたわよ」


俊之「一々、うるせーな」


由佳「あんた達の方が一々、見せ付けるからでしょ」


俊之「そんなに羨ましいんだったら、早く彼氏を見つけろって」


由佳「うっさいわね。余計なお世話よ。ねー」


由佳が木綿子に相槌を求める。


木綿子「そういう事」


今日はこうして他愛のないおしゃべりで、時間を消費していく。


もうすぐ2学期も終り、冬休みへと入る事になる。


俊之と絵美にとっては、その前のちょっとした休息日となった。

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