エピソード36/新たな目標

俊之としゆきがバイトを終えて、自宅で夕食等を済ませてから、絵美えみの家にやって来た。


いつもの様に絵美が出迎えに来る。


そして二人は絵美の部屋へ来た。


俊之「今日、さとちゃん、来ていたんでしょ!?」


絵美「うん。いきなり、知らない人が来たから、私、びっくりしちゃった」


俊之「そうなんだ」


絵美「私は俊君のお母さんが帰って来たと思っちゃってさ」


俊之「ふふふ」


絵美「そうしたら、聡子さとこさん!?」


俊之「うん」


絵美「だったからさ~」


俊之「そっか~。それで絵美は晴実はるみ聡史さとしの相手をしていたんでしょ!?」


絵美「うん。晴実ちゃんと聡史君、とても可愛かった~」


俊之「俺も晴実と聡史に会いたかったな~」


絵美「なんか、俊君に会いに来ていたみたいだけど」


俊之「そっか。前に会ったのは夏休みのバーベキューの時だったからね」


絵美「そうなんだ」


俊之「ウチのお袋の兄弟はさ、すごく仲が良くてさ」


絵美「へぇ~」


俊之「年に何度か集まったりするんだよね」


絵美「俊君は子供が好きなの?」


俊之「うん。だから、親戚が集まると、いつも俺が子守役をやっているんだ」


絵美「そうなんだ」


俊之「って、俺も小さい時は叔父さんや叔母さんに、よく遊んで貰っていたんだけどね」


絵美「そっか~」


俊之「特に聡ちゃんには、よく遊んで貰ったのを覚えているよ」


絵美「いいな~」


俊之「どうしたの?」


絵美「ウチはさ~、お父さんは一人っ子だし、お母さんの田舎は福岡だからさ」


俊之「そうなんだ」


絵美「親戚は殆ど九州にいるんだ」


俊之「そっか」


絵美「福岡には何年かに1回くらいしか行けないし」


俊之「ウチはお袋の兄弟は、みんな近くにいるし、親父の兄弟も半分くらいは近くにいるな」


絵美「俊君の親戚って、どれくらいいるの?」


俊之「お袋が5人兄弟の一番上で、親父が9人兄弟の8番目」


絵美「すご~い。なんか、TVに出れそう」


俊之「あはは。本当に親父の方は大家族番組に出来そうだよね」


絵美「それじゃ、従兄弟も沢山、いるんでしょ!?」


俊之「うん。全部で30人くらいかな」


絵美「本当に~!?」


俊之「でも、親父方の従兄弟は、もう殆ど大人になっちゃっているしね」


絵美「そうなんだ」


俊之「逆にお袋の方は晴実や聡史みたいに小さい子ばかり」


絵美「いいな~」


俊之「絵美も子供が好きなの?」


絵美「うん。だから、以前は保母さんになりたいな、とか思っていた事もあるんだ」


俊之「そうなんだ。んで、今はどうなの?」


絵美「うん。それでね」


俊之「うん」


絵美「今日、晴実ちゃんと聡史君と遊んだらさ」


俊之「うん」


絵美「真剣に保母さんになる事を考えてみてもいいのかなって」


俊之「そっか。なんか、絵美に追い越されちゃった感じだな」


絵美「何、それ!?」


俊之「俺はさ、どんな仕事とかの前に先ず、出来るだけいい大学に奨学金を使って入りたいって」


絵美「うん」


俊之「今は、それを目標にしているんだよね」


絵美「別に、それでいいじゃん」


俊之「そうなんだけどね。ってな訳で、今日は、ちょっと張り切って勉強をすっか」


絵美「えーーー」


俊之「何だよ、それ。ちょっとは協力をしてくれよ」


絵美「あはは。冗談よ~」


俊之「ふーん」


絵美「何!?俊君、いじけているの!?」


俊之「別に、いじけてなんかいないけど」


絵美「じゃあ、何よ。その顔はさ」


俊之「だから、何でもないって」


絵美「ふーん」


俊之「何!?今度は絵美がむくれたの!?」


絵美「むくれてなんかいないもん」


俊之「そう!?」


絵美「知らないっ」


俊之「分かった。ごめん、ごめん。俺が悪かったって」


絵美「あはは。俊君、可愛い~」


俊之「全く」


絵美「そんじゃ、勉強をしよ」


俊之「うん」


二人はいつもの様に勉強を始める。


いつの間にか、外では小雨がパラつき始めていた。


もう少し寒くなれば、雪に変わるのかもしれない。


そんな秋の終わりの夜だった。

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