二学期

エピソード20/ラブホテル

絵美えみ「うわ~。大きいベッド~」


俊之としゆき「俺のベッドはシングルだからな~」


絵美がベッドに俯せで倒れ込む。


そして顔を布団に埋めた。


俊之「どうした!?」


俊之が絵美の隣に腰を下ろした。


絵美「ん~ん。何でもない」


絵美が顔を上げて答えた。


俊之「そっか」


絵美が起き上がり、俊之の隣に座る。


絵美「なんか、恥ずかしいね」


俊之「恥ずかしいというか、俺は落ち着かない感じかな」


絵美「うん」


俊之「こんな広い部屋で、こんな広いベッドで」


絵美「うん」


俊之「シャワーを浴びるだろ!?」


絵美「うん」


俊之「じゃあ、絵美が先に浴びてきちゃえよ」


絵美「うん」


俊之「どうした?うん、しか言わなくなっちゃたけど」


絵美「だから、なんか、照れ臭いというか~」


俊之「俺もじっとしていると落ち着かねーから、早くHがしてーんだけどね」


絵美「それ、本当に落ち着かないからなの!?」


俊之「そう言われると、例え落ち着いていたとしても、Hはしたいのかもしれないな~」


絵美「俊君のスケベ」


俊之「じゃあ、絵美は俺がスケベじゃない方がいいの?」


絵美「俊君の意地悪」


俊之「あはは。とにかく先にシャワーを浴びてきなって」


絵美「うん。分かった」


そう言うと、絵美は立ち上がって、バスルームへ向かう。


俊之達は先日、俊之の母から貰ったホテル代で、駅前の市街地にあるラブホテルまで来ていた。


夕方にバスに乗って、市街地まで出て来たのである。


市街地まで来なくともラブホテルはあるのだが、そういう所は大体が車で利用をする所だったので、俊之達の様な高校生が出入りをするのは難しかった。


だから、俊之達は夕食デートも兼ねて、市街地まで出て来たのだ。


そしてイタリアンのレストランで夕食を済ませてから、このラブホテルに来て、一番、安い部屋を選んで、この部屋へとやって来たのである。


暫くすると、絵美が体にバスタオルを巻いて、バスルームから戻って来た。


絵美「へへへ」


絵美はちょっと照れ臭そうだった。


俊之「なんか、その格好、エッチだな」


絵美「だよね」


少し恥ずかしそうに絵美が応えた。


俊之「じゃあ、今度は俺がシャワーを浴びてくるから、待っていて」


絵美「うん」


俊之は立ち上がって、バスルームへ行く。


絵美は布団の中に潜り込み、体からバスタオルを取って、そのバスタオルを自分の枕の横に畳んで置いた。


絵美はすごくドキドキしている。


俊之と初めてHをした時もドキドキはした。


でも、今はそれ以上に、ドキドキしているのかもしれない。


今まで俊之の部屋でHをした時は、するとなったら、すぐに始まる様な感じだったが、今は俊之がシャワーを浴び終えるのを待っている。


その間が絵美に、いつも以上の興奮を与えている様だ。


そして絵美は、そんな自分がとても不思議で、とても恥ずかしくも思った。


暫くすると、俊之がバスルームから戻って来る。


俊之は身に何も纏っていなかった。


そしてベッドに近づいて腰を振り、すでに勃起しているぺニスを振り回す。


俊之「ほれ~」


絵美「やだ、もぅ~」


絵美は照れて、顔まで布団を被せてしまう。


そして俊之も布団の中に潜り込む。


俊之は絵美の顔を探り当て、キスをした。


そのまま乳房を愛撫し、背中を愛撫し、尻を愛撫し、陰部を愛撫する。


そしてぺニスにコンドームを付けて、ゆっくりと絵美の膣へ入れた。


俊之は少しの間をおいて、ゆっくりと腰を動かし始める。


絵美が喘ぐ。


大きく喘ぐ。


そして俊之が、喘いでいる絵美の口を塞ぐ様にキスをする。


俊之が少しずつ、リズムを早めていく。


絵美は俊之のキスから逃れて喘ぐ。


俊之は絵美を追いかけてキスをする。


何度かの追いかけっこの後、二人は共に果てた。


俊之はいつもの様に後処理を済ませると、絵美の横に寝転がる。


俊之「あー、気持ちが良かった」


絵美「私も~」


俊之「久しぶりだったもんな」


絵美「そうだね~」


俊之「それにさ」


絵美「うん」


俊之「落ち着かない感じがしなくなったよ」


絵美「そう!?」


俊之「寧ろ、この広いベッドが心地好い」


絵美「うふふ」


俊之「絵美」


絵美「何?」


俊之「好きだよ」


俊之はそう言うと、絵美に軽くキスをした。


絵美「私も好き」


絵美もそう言って、お返しのキスをする。


俊之「絵美は可愛いな~」


絵美「ねぇ」


俊之「ん?」


絵美「今日、私、安全日なんだ」


俊之「それが!?」


絵美「だから~」


俊之「生でしようって言うの!?」


絵美「うん」


照れながら、絵美が応えた。


俊之「駄目だよ」


絵美「何で~!?」


俊之「避妊はちゃんとしなきゃ」


絵美「も~」


俊之「万が一の事があったら、どうするんだよ!?」


絵美「だって~」


俊之「俺だって、生で絵美を感じたいよ」


絵美「だったら、いいじゃん」


俊之「でも、俺達まだ、高校生なんだよ」


絵美「そうだけどさ~」


俊之「子供が出来ちゃったら、どうする気!?」


絵美「う~ん。そうしたら、産んで育てる」


俊之「本気で言っているの!?」


絵美「うん。俊君の子供だったら、私、欲しいもん」


俊之「そっか。だったら、俺達はそれでいいのかもしれない」


絵美「でしょ」


俊之「でもね」


絵美「何?」


俊之「そんな事になったらさ」


絵美「うん」


俊之「俺のお袋、絵美の両親。俺達を信じて交際を認めてくれたのにさ」


絵美「うん」


俊之「そんな家族を裏切る事になるんじゃないかって、俺は思うんだ」


絵美「う~ん」


俊之「絵美はそれでもいいの!?」


絵美「ごめんなさい」


俊之「ほれ、みろ」


絵美「じゃあ、今日は諦める」


俊之「今日は!?」


絵美「今度する時は、ピルで避妊をしてみない?」


俊之「馬鹿」


絵美「馬鹿って、酷~い」


俊之「確かに、さ。これは俺の偏見なのかもしれない」


絵美「偏見!?」


俊之「ピルに対する偏見」


絵美「うん」


俊之「俺、一応、ちゃんと勉強をしてさ」


絵美「そうなんだ」


俊之「それで俺達みたいな子供がピルを服用する事に、賛否両論があるんだよね」


絵美「それは、そうだよね」


俊之「でね」


絵美「うん」


俊之「確かにピルってものが広まる事で、不幸な妊娠を減らす事が出来るとは、俺も思うんだ」


絵美「うん」


俊之「絵美が生でしたいって思うのと同様に、俺だって生でしたいとは思うからさ」


絵美「そっか」


俊之「そして、それは、みんなも同様だと思うんだ」


絵美「そうだよね」


俊之「でもね」


絵美「うん」


俊之「どうしても、薬を使って無理矢理、妊娠をしない様にするって事に抵抗を感じてしまうんだ」


絵美「そうなんだ」


俊之「もし、絵美がピルを服用して、その副作用で変な事にでもなりはしないかと」


絵美「俊君」


俊之「それに将来、絵美が子供を産む事になった時、その子供に悪影響があったりしたらって」


絵美「そっか」


俊之「それって、俺の偏見なのかもしれない」


絵美「うん」


俊之「でもね」


絵美「うん」


俊之「それが偏見であろうとなかろうと」


絵美「うん」


俊之「コンドームで我慢をすれば済む事だとも思うし、だったら、俺は我慢がしたいなって」


絵美「そっか~」


俊之「それにさ」


絵美「何?」


俊之「高校生の内に全部を経験しちゃう事はないじゃん」


絵美「経験!?」


俊之「生のHは大人になってからのお楽しみにとっておけば、いいんじゃないかって」


絵美「それは、そうかもしれないな~」


俊之「だろ!?」


絵美「我が儘を言って、ごめんなさい」


俊之「いいよ。解ってくれたんなら、俺、嬉しいよ」


絵美「俊君」


俊之「何?」


絵美「キスして」


俊之「そんなもん、言われなくてもしてやるよ」


そう言うと、俊之は絵美にキスをする。


そして二人は、そのまま二回戦へと突入した。


二回戦が終わると、少しの間をおいて三回戦へと。


結局、二人は朝まで体を重ね合った。


夜も明けてから、二人はやっと睡眠を取る。


三時間程、眠った後、俊之が先に目を覚まして、絵美を起こす。


そして二人はシャワーを浴び、チェックアウトの時間がぎりぎりになって、ホテルを出た。


ホテルを出た後、二人は喫茶店で朝食を摂る。


そして朝食を済ませると、二人はバスに乗って、自宅へと向かう。


俊之達はすでに二学期が始まっていた。


そして、この週末は二学期が始まってから、最初の週末だったのである。


俊之はこの後、一旦、自宅へ帰り、バイトへ向かわなければならなかった。


バスの中から外に目を遣ると、ちらほらと赤とんぼも飛び始めている。


俊之と絵美の二人は、そんな夏の終わりを感じながら、この週末の至福の時間の余韻に浸っている様だった。

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